ハセガワ 1/48 F-16C ファイテングファルコン

F-16C  Fighting Falcon   Hasegawa 1/48


ハ セガワの1/48 F-16Cです。現用機を手掛けるのモデラーなら誰しも手に取ったであろう「傑作キット」ですな。1983年に初版が売されたハセのF-16は、MA 誌別冊によると「当時最新鋭のF-16Aブロック15をモデル化したキットで豊富な資料を元に設計された」と伝えられており、ハセガワ1/48初の全面凹 彫りが施されたモールドは2012年現在でも通用する素晴らしい仕上がりです。

特筆すべきは実機のアップデートに伴い細かなパーツも適宜追加されただけでなく、良好な外形、精密感あるモールド、組み立て易さ、手頃な価格 等々。3拍子も4拍子も揃っていること。個々のセールスポイントでは本キットを凌ぐプラモは沢山あれど、全て兼ね備えている点が本キットを傑作たらしめて いるわけです。これほど完成度が高く購買意欲を促すプラモはそうざらにありませんねぇ。

実際のところ、90年代は複座型も含めかつては定番だけでも9種類(Vシリーズ)ラインナップされていました。デカール変え限定版は数しれず、一説ではハ セガワ全キット中のトップ セラーだとか。現在ではPTシリーズで2種のみF-16CJとF-16Fが現行ラインナップです。ちなみにタミヤが決定版の1/48F-16CJを出した のは20年以上後になってから。でもタミヤは複座型出しそうにないなぁ。

お持ちでない方、ぜひ手に取ってみてください。あるいは「持っているけど組んだことは無い」コレクターの方、ぜひ一度組んでみてください。某誌にて「プラ モデルのお手本」とまで激賞された本キットの良さを体感して頂けることと思います。

それにしてもこのキット、近ごろ商業模型誌どころかネットでも数件ほどしか完成品を見たことがないです。発売以来、大変に人気あるキットだと思うのです が・・・不思議です。てなわけで今回、当KOZY商店模型事業部にて製作いたしました。今回もストレート組みで。


1983年にリリースされた初期版のF-16A+(V1)とF-16サンダーバーズ(V2)。どちらも定価¥1000。F-16A+のキットではガンス モーク’85参加機のサービスデカールが同梱されて価格据え置き。ある意味で良い時代でした。

その後1987年にC型ブロック25のキットを出したあたりで金型改修されて、バルカン砲口やノズルのパーツなどが追加され定価¥1500になりました。 翌年ブロック30を出した時点でも全温度センサーが追加されたようです。金型修正前の上記2種を見かけたらコレクター派は抑えたほうが良いかも?
※正確にいうと、V1、V2のA型とV3のC型はそれぞれ金型改修前の物と改修後のものが存在します。上記写真の訂正紙は改修後に対応したものです。ちなみに金型改修前のV3はかなりレアです。

現行のF-16CJ(ブロック50)のキットがV10でリリースされたのはずっと後の2000年。従来のキットにF-16CJ用の新規パーツが追加され ま した。なのでF-16CJのキットが出る以前は、皆さん苦心して拡大型エアインテイク、バルジ付き主脚扉等を自作したり、高価なアフターパーツで対応して いたようです。



〜製作開始〜




今 回製作するキット(個体)です。ヤフオクで格安落札した物。ハセガワVシリーズのV3、F-16Cの初期型(ブロック25E)のキットです。定価 ¥1500のお品。いつのまにやらカタログ落ちしてしまったのが残念です。

キット構成です。1/48 F-16としては実にうまいパーツ割と適度な部品構成。パーツの数自体も多からず少なからず、1/72から1/48にステップアップするのに最適なキット だとおもいます。なお中古キットなので胴体パーツがランナーから外されています。

デ カールはUSAFEラムシュタイン基地の526TFS86TFWと512TFS86TFWの2種類。やたら派手なマークだと思っていたら、ロデオ’86と いう戦技競技会?の記念塗装で結構有名な機体らしい・・・。今ならデカール変え限定版の格好のネタですな。今回のデカールも少し黄ばんでいたので、3日ほ ど日干して黄ばみを抜きました。



説明書ならびにペインティングガイドです。当時のハセガワの1/48キット(および1/72の一部)にはこうした完成写真のペインティングガイドが添付し ていて、製作意欲をそそりますね。最近のは付いていないなぁ・・・。

今回のヤフオク落札キット、出品者氏は胴体パーツを切り出して仮組みして満足してしまったらしい・・・(こういう人は案外多いみたいです)。ただしゲート 部はきちんと残っており、余計な傷、エグレは無いようです。大変良い心がけと思います。

金型修正後のVシリーズのキットでは、有難いことに透明パーツが無色とスモークの2種類入っていました。後発のタミヤ1/48もこれを踏襲しています。現 行のF-16CJでは透明パーツのみ。なんか損した気になりますね(^^;)






メ インパネルはデカール表現ではなく凸モールド仕上げ。1/48らしいと思います。ちなみに手持ちのF-16A(V1)のキットと見比べたら、きちんと異な るモールドでした。細かな部分に手を抜かないあたり大変有りがたいです。塗装手順はフロアにクレオスの308番を吹いてからエナメルの艶消し 黒を吹きます。最後にエナメルシンナーを染み込ませた綿棒でスイッチの頭をこすればOK。

シートはF-15やA-10と同じくACESUです。1/48としては必要にして十分な出来。ご不満な人は適宜シートベルトを追加したり、バーリンデン等 に換装したら良いと思います。

コクピット、シートを挟み込んで胴体上下を接着します。評判通り合いはナカナカです。ただ金型の痛みでしょうか。若干のスキマはでるようです。これは溶き パテで埋めればよいでしょう。上下のズレに注意して慎重に接着。接着前に、主脚庫内壁(バルクヘッド)をはめ込むの を忘れないように。それと、全温度センサー(パーツK1)の取り付け穴の開口を忘れないように。作例では忘れました(汗)。






レドームを接着します。機首部との擦り合わせに注意します。この時、レドームの電撃防止帯の凸モールドは下手に消さない方が無難でしょう。消えてしまった 電撃防止帯の再生は、商業 模型誌などでは伸ばしランナーや金属線、プラペーパーなどで試みているようですが、個人的にどれもイマイチにしか見えませんし、めんどうだと思い ます。まあ各自のお好みで・・・。

本キットで少々気になるのは機首周りのモールド(機首下面のブレードアンテナや左右のRHAWアンテナ)の出来がややアッサリ目な事。またレドーム横の AOAセンサーは省略されてしまっているので、気になる人は適宜自作されたら良いと思います。今回はパス。

エアインテークを組み立てます。内側のパーツ接合ラインは、こだわる人でなければパテ埋め成型しなくてもあまり気にならない(個人差あります)と思います。消す場 合はクシなどの丸棒に耐水ペーパーを巻きつけて成型するとのこと。内部は白で。塗装の都合上、エアインテークAssyは、塗装後の取りつけます。






主 翼と垂直尾翼を胴体に取りつけます。事前のすり合わせが不十分なせいか、スキマが出来てしまいました(涙)。特に主翼下面と胴体のスキマが大きいようで す。このような場合、いつもの作戦でスキマに溶きパテを塗り込んで埋めてしまいます。乾燥後にはみ出たパテは、シンナーを含ませた綿棒でふき取ればOK。 これを2度ほど繰り返します。ペーパー掛けするよりずっと楽です。

主 翼にビッシリモールドされた凹リベットです。実機のピッチはもっと細かいらしい・・・。こだわる人は資料を参考にカルコで打ったら良いか と。また放電索を自作したり、翼端灯をクリア化したりお好みでディティールアップすれば良いでしょう。今回は雰囲気重視でそのまま。

比較的短時間で機体完成。後は塗装するのみです。






機体塗装。下を3色迷彩で塗装します。下面308番グレー→側面306番グレー→上面305番グレーの順で吹きます。結構単調な色彩なので、シャドー吹き やスミ入れなど汚し塗装をする方が多いみたいですね。305グレーもスケール効果を考えて、少し薄めの方が良かったかもしれません。

今回、迷ったのがレドームの色。ハセガワのF-16は全スケール全ての製品でクレオスの307番ダークゴーストグレイが指定されていますが、なんか イメージと合わないのですよね。イタレリ1/48ではFS36231ダークガルグレイ(クレオス317番が相当)が指定され、今回はそれに従いました。 ちなみに実機のレドームは調達メーカーが複数あるらしく、各機体により異なるようですね。

垂直尾翼基部。本キットは元々、垂直尾翼基部が小さなF-16Aとして金型が起こされたキットなので、これを大型化したC型を作る場合には 胴体パネルラインを多少彫り直すのが正しい、との事。ここもこだわる人は埋めて彫り直ししたら良いんじゃないでしょうか。私としてはここは許容範囲なので ここまま。本機はブロック25なので垂直尾翼基部のエアスクープ等は削り落すこと。






主脚収納庫です。ここは結構がらんどうで、個人的には十分だと思いますが・・・。ひっくり返してマジマジと見たい人はお好みで中身の機器類を追加するもも 良いでしょう。

P&W F-100エンジンのノズルです。F-16はF-15と違いターキーフェザー付きです。多分、単発なので共振による落下がないのでしょうね。ターキーフェ ザーには一枚一枚、NO PUSHの細かい デカールを貼ります。ゴマ粒のように小さいデカールで、大変めんどうです。面相筆やピンセットを使い、ここはじっくりと。

足 回りや小物類を仕上げます。パイロンのディティールも大雑把なので、こだわる人は振れ止めなどを自作されたら良いでしょう。アクセサリーは、サイドワイン ダー×2、アムラーム×2、トリプルエジェクターラック×2、バゲージポッド×1、370Galタンク×2、300Galタンク×1、で少々寂しい。アク セサリー類がアッサリ、あるいは省略してるのは当時のハセガワスタンダードで、ま、これは仕方な いでしょう。






キット付属のアムラームとサイドワインダーです。アムラーム・ミサイルが配備されはじたのは1980年代末なので、戦競ロデオ’86の機体には時期的にミ スマッチで、まるでオーパーツです(笑)。が、そういうツッコミは横に置いて、今回は有難く使うことに。ミサイル類は適当に塗装してそれらしくしました。

デ カールは526TFS86TFWにしました。尾翼のライオン・マークがとてもイカします。512TFS86TFWの派手な紅白模様も捨てがたいけど・・・ デカール貼りがとても難しそうですね。実機のシリアルNo.84-316は、http://www.f-16.net/というサイトのエアクラフト・デー タベースよりシリ アルNoで検索すれば確認できます。現在では退役しているようです。仕上げに半ツヤのクリアーを吹きます。

今回は資料本を参考にしました。MA誌増刊No487です。かれこれ15年以上前の本ですが下手な洋書よりソコソコ参考になると思います。




〜完成〜






完成したF-16C。大昔に初期版のF-16Aを組んで以来の製作となりました。当時はペタペタと筆塗り、しかも飛行機特色ではなく適当に見繕った水性塗 料でしたので、あまり上手く出来ず残念な思いをしましたねぇ。

今回組んでみて気になったのは胴体と主翼のスキマ。前処理が悪かったのか、金型の痛みなのか、思ったよりスキマが出てしまいました。基本的には悪くないと 思いますので、事前に仮 組みをして合いを確認することをおススメします。後発のイタレリやタミヤが胴体と翼が一体になっているのは、このせいでしょうか?

また、塗装は汚し塗装をしてないので少々オモチャっぽくなってしまいました。後で気が向いたときでもタミヤのウェザリングマスターでも塗ってやろうかな、 と。

今回組んだ感想としては、傑作キットの名に恥じない、とても良いキットであることを再確認しました。昨今の商業模型誌などではF-16のキットはタミヤば かりを取り上げられていますが、ハセガワもとても良いキットです。もちろん、タミヤもあれはあれで決定版なので両方作り比べてみたり、タミヤに掛る前の練 習?には良いのかな。と思います。個人的にはビギナーの方でとりあえずヨンパチでF-16を作りたいって人にはタミヤよりハセガワをおススメしますね。プ ラモは「完成させてこそ」ですからねぇ。

今回は最後少し急いだためか、反省点多数です。うーん残念。
1)胴体組立前に、全温度センサー用の取り付け穴を開口するのを忘れた。今回は無視。パーツはストックに回します。
2)HUDのパーツを紛失。塩ビ板自作にて対応。
3)コーション・デカールを一枚貼り忘れ。完成後に気付いて後の祭り(爆)。まあ、細かい所なので。。。

このキットは沢山あるので、いつかリベンジしますかね。


2012年10月3日完成。


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