ハセガワ 1/72 F-14A トムキャット(凸)

F-14A  Tomcat   Hasegawa 1/72 (Old-model)


ハセガワの1/72 F-14A(凸)です。実機は映画「トップガン」でとても有名、第4世 代戦闘機の一つです。高性能の反面、機体価格とエンジンパワー不足が泣き所で、結局はそれが仇となり2006年に退役しました。それでも30年 近く米海軍航空隊の花形だっただけに今でも熱心なファンの多い機体です。

本キットは旧凸モールド版。初版発売が1977年という オールド・キットで、長らく1/72トム猫の決定版として親しまれていた名作です。可変翼など複雑な機体形状をモデル化したため、他の1/72ジェットよりも箱が大きくて、やや高級なイメージでした。その後2度のマイナーチェンジを経て現在に至ります。映画トップガンの影響もあって非常に売れたキットではないで しょうか。従って日本ではとてもポピュラーなトム猫のキットだと思います。

特に87年のマイナーチェンジ版は本キットの最終進化形とよべるもので、デカールもハイビジ版とロービジ版の2種類用意されています。これは2013年5 月でも現行商品になるほどの秀作キットなのだけど、そこで留まらないのが当時のハセガワの凄いところで、88年にこれを上まわる新凹版を新金型でリメイク し ます。新版の方はかなり凝った内容 で、それだけに難易度は高めです。

この旧版キット、新版の登場以降の模型誌では作例を見ません。ただ、新版が出るまでは1/72F-14の決定版として君臨していただけに、基本的な出来は 悪くないで す。本キットをやれ古臭いとかライトユーザー向けとかいう意見もありますが、それは新版と比較してのことであって、この旧版すら満足に完成させられないよ うでは新版などとても手に負えますまい。

ち なみに新版キットは、一部でバラバラキットとか組み立て難いといった評判もあるようです。15年位前にWINGS’95厚木のCAG機を2機同時製作し た記憶では、別段に難しい印象は無かったかなぁ・・・。
確かにあれはパーツ細かいですけどね。一つ一つ丁寧に処理して、合いを確認しつつゆっくり組めば、概ね問題ないハズ・・・。

ひょっとすると打ち過ぎで金型が傷んでいるかもしれませんね。新版 といいつ つ、あれも25年選手だからなぁ。

製作前のちょっと余談

本キットは1977年初版発売以降、2度ほどアップグレードされています。人気のトム猫だけにハセガワも力が入っていました。
その変遷については2010年「モデルアートプロファイル6」のP121に記載されています。僭越ながら手持ちのストックと照合の上、若干補足したいと思 います。詳細は下記表に示します。(限定版は除く)
箱 絵
発 売年
デ カール
変 更点
  定価 
()は改訂価格
備 考

1977
VF-1
VF-213

(ハイビジ)
初版
¥900
(¥1000)
カラーガイド付

改訂により廃版

1983
VF-2
VF-33

(ハイビジ)
操縦桿追加
機首ピトー管追加
翼下パイロン追加
増槽追加
フェニックス6発→4発に変更。
¥1000
ペイントガイド付

改訂により廃版

1987
VF-84 VF-111

(ハイビジ)
キャノピー変更
シート変更
垂直尾翼モールド変更
機首カメラフェアリング追加
¥1200
(¥1575)
現行商品
 
1987
VF-74
VF-84

(ロービジ)
同上
¥1200
(¥1575)
現行商品

箱絵変更あり
(右が現行)
箱絵は1977年の初版からずっと小池絵師の担当、1987年のハイビジ版、ロービジ版以降は箱絵変更(ロービジ版のみ)や価格改訂以外に大きな変更は無 いようです。キットの出来自体は、この現行版が最も良い。廃版の旧箱2種はどちらかというとコレクターアイテムですかね。ただし大量に売れたキットだから 中古市場はダブついていて、入手自体はヤフオクで比較的容易です。

この新版(凹)発売後も旧版(凸)を絶版せずに併売するというハセガワ社の姿勢は非常に有難いです。

〜製作〜




今 回製作するキット(個体)です。83年の一次改訂版。ヤフオクで入手しました。これ以上買っても作りきれないのは頭で判っていてもついつい入札してしまう んですよね〜。困ったもんです(汗)。箱のサイズは340×190×50。キングサイズシリーズ。同社の1/72ジェット戦闘機としては大きい方で、高級感が漂います。私も含め当時のガキ共にとって憧れのキットでした。

パーツ構成です。F-14のキットとしてはオーソドックスな割り。機首は別体として左右り。機首が上下割りだと抜きの関係で側面モールドが甘くなります。 まあ好みにもよりますが、私はトム猫の場合これがベストな割りだと思っています。前述したようにモールドは繊細な凸。古い模型誌では本キットを全面凹に彫り 直し た作例が良く見られました。当時のトレンド工作だったんでしょう。

デ カールはVF-2とVF-33の2種。これは良い。初版のVF-1、VF-213は何かと不満が多かったような記述をMG誌増刊で見ました。トム猫は魅力 的な塗装が多いので選 ぶのに迷います。迷ったあげく買い込んでしまうのですが・・・。全飛行隊製作を夢見たモデラーも多かったのでは?そんなニーズにハセガワもこの時代はオリ ジナルで別売り デカールを発売して対応していましたね。それにしても黄ばみがすごいです。




完成品写真によるペイントガイドです。これもなかなかの高級感。同社1/72キットでこれが入っているのは案外珍しいです。他にF-15E、F-15J等 で一部見た事有るくらい。1/48では結構見かけるんですけどね。たった一枚の紙切れだけど、とても製作意欲がわきます。

インストは今とは若干違う感じ。組み立ての説明の補足文章が入っていて、ある意味親切です。今どきの図だけの簡潔なインストとは違った温かみ?のようなも のがあります。



まずは、パーツ洗浄です。最近の物と違い、国産キットでも古い時期に生産されたキットは離型剤がよく残っています。洗浄はケースバイケースで一概に必須作 業と言えないのが正直なところ(舶来モノは必須)。今回は製造時期を考慮して、念のため洗浄します。

コクピットです。フロアや計器盤をC317グレーを吹きデカールをペタッと貼ってお終い。シートは1977年版と1983年版では左右2ピース。シートベ ルトだのフェイスカーテンハ ンドルどころの話ではないです。当時らしく大雑把といえばそれまでだけど、見方を変えれば漢(おとこ)らしくもある??かもしれない。現行版では3ピー ス。新凹版では5ピースで構成されてます。今回はそのまま。
それとシート前後の隔壁が無いから気になる人はプラ板で自作するのが良いです。

バルカン砲口は開口されていないのでドリルで彫ります。この時ステンレスレープ(赤矢印)で胴体側面を保護しておくと、ドリル側面で余計な部分 まで傷つける心配がありません。修正が面倒ですからねぇ。





コクピットを挟んで機首を組みました。合いは良いです。ただし、前後上下でズレのないように注意します。各部がツライチになるようテープで仮固定してから 流し込み接着剤を使うと良いです。ノーズコーンにオモリを仕込むのを忘れずに。

機種左側のダクト(赤矢印) は実機と比べてやや横長です。MG誌87年増刊(アビエーショングラフィックス1)やレプリカ誌87年7月号では前の2、3本を埋めるように指示がされて います。両誌とも指摘しておきながら修正はしてない。実際、下手に手を加えると返って面倒な事になりそうなので、ここはそのまま、気にしない。修正するく らいなら新版かフジミを作りましょう。

次は 胴体を組みます。その前にフェニックス、増槽を搭載する場合は取りつけ穴を開口します。それと胴体は中がスカスカです。上下を接着後に強く抑えるとふ にゃっと凹んで接着面が割れそうです。なので補強のためにエポキシパテで詰め物をしました。エポキシパテはベタベタしていたからテープを上から貼りまし た。ちなみに胴体上下の 合いも概ね良好です。





機首ASSYと胴体ASSYを接着します。ここの合いは意外と良くて安心しました。というのも機首を別体にしたキット(イーグルや トム猫に多い)は胴体と合いが悪いものが多いから(タミヤ1/32F-15とか)。逆に機首を胴体と一体化して上下割りにした方式では抜きの関係 で側面のモールドが甘いんですよねぇ。エアインテークもここで接着。内側は先に塗装します。

主翼を組みます。 可変後退翼(VG翼)機のプラモでは、ピボット部(赤矢印)を切り欠いて胴体とは別 に塗装し、後から差し込むのがセオリー。完成後にキコキコ動かして遊びたい人 は、製作手順を工夫すれば出来なくもないけど少数派かな。「遊び心」は否定しませんが。ガキの 頃はこうしたテクを知らないから、翼を動かして塗っていました・・・。

TF30 エンジンのノズルは閉開2種類のパーツが用意されています。開のパーツでは整形ピンが内側にあって、普通のナイフでカットしようとするとギザギザになるの で厄介です。ここは彫刻刀の丸刀が便利です。通常のゲート処理と同様に、3回程度に分けてチマチマとカットすると綺麗に処理できます。





垂直尾翼です。今回のキットは1983年版で上部の補強版(青矢印) のモールドは初期型の物になっています。このモールドは現行版では後期型に改修されています(写真中央)。余談だけど、タミヤ 1/32ではここが初期型のままで未改修です。それと中央部のアンテナ(赤矢印)は 凹で はなく凸が正解。これも現行版では改修されています。

今回はこの凸アンテナをφ0.3真鍮線を張り付けて再現してみました。手を加えたのはここだけです。エポキシ接着剤で真鍮線を貼り付けます。下のスソの部 分は真鍮線だと折り曲げ加工が面倒なので伸ばしランナーで対応しました。




こ こまでで大体の組み立ては終了しました。各パーツの接合面はスポンジヤスリで均したり、溶きパテもしくはエポキシ接着剤でスキマを埋めておきます。凸モー ルドをなるべく潰したくないので接合面をヤスるのは目立つ箇所だけ、ホドホドにしておきます。接合面は完璧に消さずとも案外気になりません(個人差あ り)。ミサイルや増槽もここで組んで処理を済ませておきます。

塗装前の仮組です。完成後のイメージがおおよそわかります。おおお〜、トム猫のスタイルですね。完成へ向けテンションが上がります。説明書を良く見て、自分 が作りたい機体の塗装パターンを確認しておきます。今回はVF-2にします。




塗装が終わりました。機体は全面ライトガルグレー(C315)、アンチグレア部は艶消し黒。垂直尾翼の上端はオレンジイエロー(C329)、動翼部はインシグニ アブルー(C328)、主翼前縁とビーバーテールの一部が銀ってところですかね。塗り分けが結構めんどくさくって、マスキングしては塗装の繰り返しになります。塗装が仕上がるにつれ、何だか楽しくなってきましたョ。ヨシヨシ、出来てきた出来てきた。

現用米海軍機で厄介なのは、脚庫扉のフチ。注意喚起のため?実機ではここは赤く塗られています。面相筆だとヨレヨレになるし、吹き付けはマスキング が面倒。しかもはみ出すと修正が厄介、とモデラー泣かせです。こういう場所はタミヤペイントマーカーの出番です。はみ出たらエナメルシンナーでひと拭き。ホントはイ ンシグニアレッドFS11136で塗りたいけど、まあしょうがない。

マー クは同梱されていたVF-2にしました。これは結構好きなマーク。この部隊も時期や機体により塗装パターンで色々変遷があるみたいですが、個人的にはこれ が一番しっくりくる。たしかトム猫が1976年に入間に初来日したときのNK201がこれに近いパターン。まああれはツートンカラーですが。オールドファンには結構人気あると思います。くうぅ・・・カッコええ・・・。



ウェポン類です。フェニックス×4、スパロー×2、サイドワインダー×2のフル装備。実際にはこんな兵装で活動することは余りないようです。まあデモ用の装束ってことで。帯類はいつものごとく細切りデカールで。結構めんどくさいです。

今回はツヤ有り仕上げなので、オーバーコートせずにデカール貼りっぱなしで完成としました。出来ればコートした方が良いですね。最後に、ミサイルや小物類を取り付けて完成となります。しかし、小物類取りつけると持ち所が無い・・・。



〜完成〜






完成したハセガワのF-14A。うんうん、やっぱりトム猫は初期のハイビジVF-2が良く似合う。い や〜一度作ってみたかったのですよ。この塗装、日本人には結構人気あると思うのだけど、定番商品でもあんまり見たこ とない。メジャーなVF-84(ジョリーロジャース)とは対照的ですね。ちなみに、1976年の国際航空宇宙ショー(入間)の展示機NK201は後に限定キットで発売されました。

気になる点としては、少々キャノピーのあたりがトム猫っぽくない。けど現行版ではこれも改修されているからOK。キット自体は特に大きな問題は無く、普通に作り易かったです。合いも良かった。初版1977年だから古参の部類に入るとはいえ、ハセガワ・スタンダー ドはこの頃すでに確立されていたんですねぇ。このキットは良い。まだまだイケる。細部にこだわらない人や、これから全飛行隊制覇し たい人にはおススメだと思います。

私個人的には機種はどちらかというとイーグルやファルコンの方が好きなのだけど、塗装やマーク類が単調なんですよね。本機の場合は記念塗装とかではなく普通の 状態でも派手派手なマーク類とか塗装のバリエーションが多くて、それが本機の魅力の一つだと思います。だからついつい買い込んでしまうんですね。まったく 模型メーカーの思うツボです(汗)。

近年ではダイキャストの完成品もたくさん出ていて、私も完成品には一時期ハマりました。けど、組みあがるにつれて不思議とテンションが上がるというか、プラモ ならではの作る楽しみってのがあって、このオールドキットはそれを再確認させてくれたのです(タミヤ風の語尾)。

これは良いキットです。

2013年5月18日完成。


プラモコーナーへ戻る


TOP


               Copyright  2012 KOZY-Syouten ALL Rights Reserved