アリイ 扇風機 水鳥 

ARII 1/4 MOTORFAN  MIZUTORI 


ようやく温かくなってきました。今年は桜開花後にも雪が降り寒い冬でした。春です。
久しぶりの製作はアリイ(マイクロエース)の卓上扇風機「水鳥」です
。最近ではめっきり見かけなくなった扇風機のプラモデルです。いわゆる変わり種プラモの一つですね。昭和時代を生きた方には懐かしいお品ではないでしょうか。旧オオタキ社の製品となります。

扇風機のプラモデル
今でこそ「珍キット」などと言われている?扇風機のプラモデルですがかつて(40年ほど前)は数社の模型メーカーから計20点ほど販売されており、一つのジャ ンルを形成していたようです。これらのプラモは、2015年現在店頭から姿を消しており、主な流通経路は現在では中古市場頼みなのが残念。一見マイナーな様ですが、ヤ フオクでは稀に高騰することもあり、熱心なファンは現在でも確実に存在しています。

なぜ家電、しかも扇風機がプラモデルの対象になりえたのか?理由は良く判りませんが、おそらくは小学生児童の夏休みの自由工作としての需要を当て込んだもの ではないでしょうか。メーカーとしては日東やオオタキ、クラウンなどがあり、日東系は童友社、オオタキ系はアリイ(マイクロエース)がそれぞ れ金型を引き継いで何度か再販されていました。
※日東の製品の一部はさらに遡ると去O協模型製作所で金型が起こされたもののようです。


主なスケールは1/3、1/4で特に1/3は首振り機能やタイマー機能があったりして、個人的には大人となった今でも非常に興味深い。このギミックは下手気な 工作教材とか「大人の○○」などよりよほど勉強になるし、購買意欲を刺激します。童友社さん、アリイさん、夏季限定のスポットで良いから再販してくれないかなぁ。

私自身の記憶では扇風機プラモはアリイのを一回だけ買ったことがあります。記憶では大して風量もなく、モーター音だけやたらうるさくてガッカリした記憶があるような・・・。どうなんでしょう・・・。当時の記憶を辿りつつ、製作開始です。

ご注意事項
生産休止品です。

製作方針
今回は(も?)、無塗装素組でいきます。大 抵のスケールモデルは塗装しないとリアル感に欠けるというか、様にならないのだけれども、この手のプラモは塗装無しでもそこそこになるのが嬉しい点。ガキ の時分は「プラモに塗装」だなんて概念が無かったし、みんな素組でプラモを楽しんでいたもんです(もちろん、当時でも大人やマニアはキチンと塗装していました が)。
無塗装素組によるプラモ製作の注意点は、接着剤のはみ出しによる「モデル表面の汚れ」。これがあるとせっかく買ったプラモが台無しになった気分です。だか ら塗装しない子供の時分は、接着剤を付け過ぎないように慎重に組んだものです。なかなか上手くいきませんでした・・・。今回の製作ではエポキシ接着剤を使用しました。これならプラ表面を侵さないし、はみ出しても硬化前なら綿棒で拭き取ればOKです。


製作開始



今 回製作するキット(個体)です。ヤフオクで入手しました。ボックスアート?の背景はどこぞの高山地帯の雪山と針葉樹林、流れる雪解け水を流れる急流をあし らった良い写真。扇風機とは直接関係ないけど、センスあふれる良い箱絵?です。首長な水鳥ってことはダイサギがモチーフですかね。日東系(三協)の扇風機 プラモが日立、東芝といった実物の家電製品を模型化しているのに対し、オオタキ系はモデルとなる1/1の実物は無い?ようです。

ボックス横には他のシリーズが掲載されており、3機種×色違いで計6種類のラインナップがあります。色違いでラインナップを増やすとは、やりますのう。

ボックスサイズは、255mm×150mm×60mm  定価¥800で130モーター付き。

キット内容です。ファンガードと支柱上部は高級感あふれるメッキ仕上げ。ただしバリが多いです。本体はペールグリーン、羽根はクリアブルーによる何とも涼しげなプラ成型。こりゃ塗装しなくても十分ですな。

シールです。水転写式デカールではなく粘着式シールです。何と旧JISマークまでプリントしています(笑)。

モーターと金具、コード類です。これぞモーターライズプラモです。ん〜、製作意欲を刺激しますねぇ。


さてさて、製作開始です。まずはファンガードのバリが多いのでこれを処理します。ガードの枝が細いので折れないよう、良く切れるデザインナイフでチ マチマと気長に削ります。その後、紙ヤスリで撫でて滑らかにします。削った部分は無情にも下地のプラが露出します(涙)ので、シルバーのペイントマーカーでタッチ アップすると目立たなくなります。いきなり無塗装素組の製作方針に反しますが、これくらいならOKとします。

130モーターをベースに固定します。インストでは「完全に接着するまで2時間ほど待ちます。」などと記載されていますが、1つの工程ごとに2時間も待っていられません。エポキシ接着剤(5分硬化タイプ)はこういう時重宝します。

モーターをケースに組み込みました。エポキシ接着剤が硬化する合間に次工程のパーツを切り出しておきます。このようにしてどんどん組み上げていきます。


支柱(メッキパーツのパイプ)を取りつけます。2パーツ構成なんだけれども、著しく実感に乏しい?ので入手可能であれば外径7o×70o長の金属パイプで換装したいところですね。ここは接着せず差し込むだけとします。

台座(上)と支柱ハウジングです。ペタッとシールを貼ってお終い。支柱ハウジングは流し込み接着剤で固めました。

ここで問題発生。支柱の太さがややサイズオーバーでケースに差し込めません。仕方ないので少し削り込もうかと思いましたが、支柱(メッキパーツのパイプ)をモーターケースより外し、上下逆にしたところケースに差し込めました。なんてこった・・・。


台座(上)と支柱ハウジングを接着し、コードを通します。コードは若干長さが不足していますが、予備コード(青)を継ぎ足して対応します。

台座(下)にスイッチを接着します。ここは流し込み接着剤で固定し、エポキシ接着剤でガチガチに補強します。


ファンガード(裏)をモーターケースに接着します。実物の扇風機だとホコリを掃除できるよう、抑え具がネジ止めになっていますね。

ファンガード(表)を接着します。ダボ穴が有るので位置決めは容易です。ただし、バリやピン跡が有るとキチッと嵌らないので、丁寧に処理した上のことで。エポキシ接着剤を少量付けて、はみ出した部分をふき取り、適当な重しを載せて10分ほど待ちます。

最後にダミー部品(高さ調整ネジ、首振りピン)を接着して完成!です。


完成
完成したアリイの水鳥。長身なスタイルがナカナカ優美で、なるほど、ダイサギを連 想させますねぇ。ただ実物の扇風機と違い重心は悪いみたいで、モーターで羽根を動かすと振動で「自走」する始末(爆笑)。支柱もブルブル震えるし、動かし続ける と何だか自己分解しそうな雰囲気だったので直ぐにモーターを止めました・・・。

振動対策のカスタムをするとしたら、台座にオモリと防振マットを入れたり、支柱を金属パイプに換装といったところでしょうか。しかしそこは華奢なプラモデ ル。ウルトラダッシュモーター等で強化換装は・・・周辺パーツとの兼ね合いでしない方が無難かと。完成記念に実物のメタルファンとツーショット写真を撮り ました。こうしてみると実物が巨大に見えるから不思議です。

風量は、まぁ携帯ミニファン程度。のわりに結構モーター音がうるさいです。結局のところ、扇風機プラモはあくまで「扇風機の模型」であって、涼を欲するならば1/1の実物を買う方が賢明である。ことを確認した今回の製作でした。

ただ、スイッチを入れて動いた時の感動は素晴らしく、モーターライズ・プラモながらもきちんと扇風機しているあたりナカナカ良いお品だと思います。これぞモーターライズ。「動いた時の感動」こそ、ディスプイレイプラモでは味わえぬ真骨頂なんだなぁと思いました。

この手の商品は工作教材として、もっと見直されても良いのではないでしょうか?


2015年4月26日完成。

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