P-51D Mustang Dragonmodels 1/72
ド
ラゴンウイングズの1/72P-51Dムスタングです。ウォーバードシリーズ。完成品ダイキャストモデルです。プラモではありません。本格的なモデラーさんは顔をしかめるかもしれませんが、「作る楽しみ完成の喜び」が本質のプラモデルとは別物だと思えば何でもありません。これはこれでミニカー
のように飾って、素直に航空機のスタイルを楽しめば良いと思います。
出来の方は、モ
デラー目線で見てしまうとディテールの繊細さでは
やはりプラモデルには敵いません。しかしマーキングなどは下手なプラモ作品よりは細かく綺麗に出来ており、部分的には思わず「う〜ん」と唸ってしま
う点も多いの
です。これより綺麗に仕上げてやろうと、逆にプラモデルの良さを見直すきっかけになるかもしれません。
この手の完成品は流通量が少なく一過性なのと近年の価格高騰が弱点で、10年前ほどの勢いはありません。そのためでしょうか、メディアへの露出は少なく、「表」に出てくることはあまり多く有りません。しかしそれでも熱心なコレクターは確実に存在し、またこれらを取り扱う専門店も幾つか有ります。
プラモデルよりも得意な分野もあります。旅客機モデルです。ミニ
カー譲りの綺麗な塗装と正確なマーキングはプロモデラー顔負けの出来で、個人レベルでそう真似の出来るものではありません。というか、旅客機プラモの仕上げは実はかなり難しく、上級者でなければ綺麗に作れないような不親切設計を30年以上も続けている事の方が問題。「スプレー缶やエアブラシがあれば誰でも綺麗な完成品が出来る」
なんてのは全くの幻想です。ユーザーのスキル頼みの設計姿勢を改めないと、旅客
機プラモは将来危ないよね。
19世紀中頃に「写真」が発明された際、それまでの「画家」が自分たちの存在意義が無くなる
と、パニックになったのだそうです。しかし発想を転換して「写真では絶対に出来ない」作風を取り入れることで画家は生き延びた。今のプラモ界で流行っているシャド
ウ吹きや汚し塗装、筆塗りなどは、こうした完成品模型に対する抵抗なんだろうね。
さてモデルの紹介です。プラモメーカーのドラゴンモデルズが2003年頃から大々的に展開した「ドラゴンウイングズ・ウォーバードシリーズ」の一つです。
他に旅客機や宇宙ロケットなどもリリースしていました。プラモメーカーの出自だけあって出来は信頼しても良いでしょう。
ムスタングは中でも初期の作で、レシプロ大戦機のトッ
プバッター。ドラゴンのHP見ると2003年にカラバリで7種も矢継ぎ早にリリースされています。この勢いは、当時ちょっとした脅威でした。かつてはモデラーの”特権”であったマーキング制覇が出来てしまうんですからねぇ。出来についてもコレクターさんの間でなかなか評価の高い逸品です。
惜しむらくは他のダイキャストモデルやミニカー同様、「1ロット作ってお終い」製品で入手性が悪く、一度買い逃すと滅多に見つかりません。このジャンルは近年の値段高騰、出自不明で怪しげな後発メーカーが沢山あって、コレクターを惑わします。私も10年ほど前は熱心に
収集していましたが、現在ではコレクションから手を
引いています。
では早速、中身を見てみましょう。
1/72 P-51D Mustang USAAF
”SHark's Mouth 12FBS, 18FBG, January 1951 (ITEM No.50040)です。朝鮮戦争仕様。命名規則変更により正式にはP
-51DではなくF-51Dです。てなツッコミはご容赦ください。箱
のサイズは175×175×58とコンパクトで、下手なプラモよりも場所を取りません。この個体はヤフオクでゲットしました。
表紙はマジックテープで留められており、中身を確認できるようになっています。これは嬉しい工夫ですね。
当時の代理店はハセガワで、ドラゴンが積極的にリリースしていた2003年〜2007年ごろまではハセガワHPでも紹介されていました。定価¥2900。
本体はダイキャストで、小物類はプラ部品となっております。
箱のベロ(フラップ)にはポイ
ント券が。何点か集めると抽選で何か当たるのでしょうか?
開封してみました。前のオーナーさんが表紙を開けて展示していたのでしょうか、ブリスターが日焼けています。中身は飛行機の他に、簡単な組み立て説明書と
飛行スタンドが添付しています。
飛行状態も楽しめるよう、閉じた脚カバーも付属していてセロテープで留められています。塗装はしっかりしているので銀粉の剥がれはありません。吸気口の辺
りにスタンド用のダボ穴が開いています。これでズッシリ、150g位あります。文鎮としても使えそうです。
1/72なのに主翼フラップはカタ
カタ可動します。おお〜ドラゴンやるなぁ、と思っていたら塗装ミス?(赤丸部分)発見。下面だしこの程度なら許容範囲でしょうか。
パネルラインはプラモのような繊細な凹彫りで、スミ入れまで施されています。が、脚庫などは結構雑で、この辺はしょうがないですか。
座席が機軸に対して斜めって取り付けられています(笑)。P-51のプラモは昔一度しか作ったことないから詳しくないのですが、実機も斜めだったんですか
ねぇ?・・・いや、たぶん違うよな・・・。
キャノピーは取り外し式で可動します。形状は、いわゆる”標準型”でしょうか?もし間違いだとしてもわざわざプラモデルから取ってきて載せ換えるって人は
ほとんど居ないでしょうね。
小物類を取り付ければあっという間に「完成」です。
〜完成〜
ドラゴンの完成品P-51D。出来に関しては結構良いと思います。この手のモデルで
ありがちな太い凹彫りではなく、プラモのような繊細な筋彫り。マーキングはタンポ印刷でニスは無し。これは量産品ならではの利点です。うん、さすがプラモ
メー
カー、出自不明で怪しげな後発の新興メーカーより良く出来ています。
残念ならがドラゴンの完成品モデルは2013年以降
は、新作がリリースされておらず、現在は活動休止っぽい状態です。再販されても以前のようなリーズナブ
ルな価格は難しいでしょうね。しかしこの分野を開拓した?ドラゴンの功績は大きなものがあったのだと思います。なお今回は紹介しませんがP-47もおスス
メです。
唯一不満?な点は、主脚柱の取り付けが少し弱い事で、前述のように機体そのものがズッシリ150g有るからこれの取り付けはもう少ししっかりした方が良
かったでしょうか。長期間展示したい人は瞬間接着剤で固めてしまうか、あるいは飛行状態が良いでしょうね。
何かを神経を使うプラモ製作の合間にちょっと息抜き、
完成品ダイキャストモデルで癒されてみませんか???
2017年4月20日。
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