F-16A
Fighting Falcon Fujimi 1/72
フジミの1/72
F-16Aです。同社からファルコンが出ていることは20年くらい前か
ら知ってはいましたが、実際にキットを手に取ったのはごく最近(2014年暮れ頃)だったり
します。というのも本キットの出来がイマイチってことを雑誌等の評判で知っていて、あまり興味無かったから。特に同時期に発売されたハセガワとは何かと比較され、ちょっとワリを喰った感があ
ります。
フジミのF-16は初版発売が1984年頃になります。Aプラス型(ブロッ
ク15)のキット化としては初だそうですが、翌年ハセガワが同じAプラスをぶつけて来て、そちらの方が出来が良くておまけに¥100安かったので苦戦し
たようです。実際、
私のガキ時分は近所の模型店や玩具店ではハセガワばかりで、フジミからF-16が出ている事は1994年に同社のカタログで見て、初めて知りました。
それでもC/D型やN
型などバリエーション展開については熱心で、特にNATO仕様やADF仕様などはハセガワよりも早期にキットされています。なのでデカールやパーツ取り用に「フジミのファルコン」を手に取った方も多いのではないでしょうか?
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このフジミのファルコン、最近の模型誌ではほとんど作例が無く、直近だとMA誌2014年9月号にサラッと紹介されていたんだけれども、タミヤの新作F-16CJ紹介の「引き立て役」のような扱いを受けており、やや気の毒な感じではあります。
一応、80年代模型誌に作例があって、それによると本キットは致命的?なミスが2点ほど有るとされており、これでかなり評価を落としているようです。同社1/72初期の作だから資料不足は仕方
ないにしろ、後に金型修正(翼端の放電索の追加)した際、一緒に直して欲しかったなぁ。。。80年代中盤〜後半のフジミは、米海軍機系で名作キットが多
いから少々残念ですかね。
このミスが理由なのかは判りませんが本
キットは存在感が薄く、これを敢えて作ろうという人は今ではあまり居ないようです(?)。従って昔の模型誌以外に纏まった情報というのが無くて、その実態については良く判らないというのが正直な所でした。
という訳で今回、この謎?のキット「フジミのファルコン」製作し、レポートしたいと思います。
どれ、ひとつやってみますか。
〜製作開始〜
今
回製作するキット(個体)です。ヤフオクで入手しました。”WOLF
PACK”の仕様。結構古いお品です。舵輪(だりん)をあしらったフジミの旧ロゴマークで恐らくは80年代中期でしょう。インストの下端には1984.4
と記載があります。当時定価は¥700。ちなみに翌年出たハセ初版は¥600(当時定価)でした。
パーツ構成です。標準的なF-16のキット割りで、ハセガワや
イタレリとほぼ同様になっています。胴体背部パーツは差し替えで単座/複座に対応。アクセサリーパーツとしては、9Lサイドワインダー4発と、GBU-
10誘導爆弾が2発あります。なお本キットは後に金型改修されて翼端に放電索が追加されています(今回の品は改修前)。
デカールです。シンプルに8TFW ”WOLF
PACK”の一種類のみ。細かいステンシル類は省略し、必要最小限に留まっています。少し黄ばんでいたので5時間くらい直射日光に当てて黄ばみを抜きまし
た。
イ
ンストです。昔風の横折り形式でグンゼ水性ホビーカラーによる塗装指示です。パーツリストには各パーツの名称が記載されていて、これは古き良き慣習です。
最近のキットはどのメーカーもパーツNo.だけの記載でどのパーツが何であるか良く判らないから、昔キットのこうした美点は復活させて欲しい所です。
本キットの欠点その@:キャノピーです。に・・・似て
ねぇ〜!(笑)。上から見た形状はキャノピー後部の絞り込みが足りず、水滴状と
いうより楕円っぽいです。横形状はナカナカだんだけどなぁ。これは直して欲しいぞフジミさん・・・。ですが後発キットが有る手前、ここは笑って許容することに。逆に完成後のプロポーションががどうなるか興味湧いてきましたョ。
※因みに複座型のキャノピーはそんなに変ではない様子です。
本キットの欠点そのA:胴体後部です。エアブレーキのあたりが妙に膨らんで幅広いです。ここは平ヤスリで削り込めば修正出来なくもなく、事実80年代模型誌の作例でもそうしているケースが有ります。ただし、ここにくっ付く水平尾翼は
胴体に沿う形でなだらかにカーブを描いているから、むしろ下手げに修正しない方が無難です。なので「フジミのF-16はエリアルールを採用した」と解釈し、ここ
もすっとぼけます。
今
回は国産キットってことでパーツ洗浄は無し。のっけから大きな主要パーツを一通り切り出します。ゲートを十分に残した位置でカットする事。そしたら次にデザインナ
イフでゲートを丁寧に処理します。バリ等も同時に処理しておきます。処理したパーツは無くさない様、箱にポンポン放り込んでいきます。
コクピットです。フロアとシートを塗装し、デカール貼ってお終い。シートはACESUに全く似ていません。それとシートの角度がやたらとリクライニングしているよ
うですが、もはやこの程度では驚きません。ということでこのまま使用します。シートは後付けOKなので後で塗装します。
イタレリ同様、本キットもコンパチなので胴体上部に単座用の背部パーツを接着します。一度に
接着するのではなく、合いを確認しながら少しずつMrセメントSで接着していきます。ツライチになるように注意。背部パーツの合いは良好ですが、さらに溶きパテを擦り込んで一体感
を出します。それが済んだらフロアと脚庫隔壁を挟んで胴体上下を接着します。ここの合いも良さげなのですが、ドジこいて左右が少しだけズレてしまいました。。。AOAセンサーのモールドはぶっ飛びますが無視します。
主翼を取り付けます。バリを処理したので、ピッタリと合いました。その後溶きパテを擦り込んでおきます。ここまで組んだ印象としては、割りの都合でストレーキが分厚いようです。ここのシャープさはハセガワの方が一枚上ですね。それと気のせいか機首が少し太いように見えます。
エ
アインテークASSYです。7o位のところで行き止まり。奥行き感まるで無し。ドリルで掘ろうかと思ったけど、もはや面倒なのでこのまま使います。フジミ
のキットはASSYの形がちょっと変わっていて、塗装後に取り付けると胴体との分割線がモロに目立ちます。ここの処理については後述します。
垂直尾翼です。漢(おとこ)らしく1ピースの部品。これは良いですね。ブロック15の特徴の一つである空中給油口の照射プローブが省略されていますが、気にせずそのまま使用します。
機体塗装です。いつもの米軍制空迷彩。塗装に掛る手間や塗る順番などにメーカーやスケールに大きな差は無いです。各パーツの細部塗装もこの段階でほぼ終わらせてしまいます。
塗装後のエアインテークASSYを胴体に接着します。分割線にはエポキシ接着剤を擦り込み、綿棒できれいに拭き取ってしまいます。その上からエアブラシをうんと絞ってタッチアップ処理しました。多少はマシになりました。
なお、本キットでは主脚庫の前部隔壁がパーツ化されておらず、そのまま組むと「スッカスカ」です。気になる人はプラ板で自作される事をお勧めします。
塗装が済んだらスミ入れを兼ねて軽くウオッシングを施し、色を落ち着かせました。
デカールを貼りました。イタレリ同様、ステンシル類も最小限なのでそれほど時間はかかりません。30年近く経ったデカールでしたが、普通に貼れました。デカールが乾いたら半ツヤのクリアーでオーバーコートします。
最後に小物類をとりつけ、いっちょ上がり、です。
〜完成〜
完
成したフジミの1/72F-16A。う〜ん、何というかこれは・・・・ハセガワ、イタレリと比べてしまうと・・・やっぱキャノピーが違和感あり。今風の言葉でいうと「コレ
ジャナイ感」とでもいったところでしょうか?似てるんだけど微妙に違う、そっくりさんという感じ(笑)。あとレドームも何か太い感じがしますねぇ。側面形状は普通に見えるんですけどねぇ。
パーツの合いは、概ねOK。作り易さはイタレリと同じ位なので初心者でも安
心して取り掛かれるキットだと思います。適度な割りで難易度的に低く設定されているので、ベテランさんなら3、4日位で完成といったところでしょうか。プラモとしては普通の出来ではないでしょうか?
こ
のキットの楽しみ方の一つとしては、作り手が少ない事を逆手に取って「どっちのキットでショー」をやってみたり、展示会でタミヤやハセガワのF-
16の中にとぼけて紛れ込ませるのも面白いかも。ハッタリかましてそれらしく作れば、見る側が余程のマニアでない限り、フジミだと見破れないかもしれません。こういうイタズラも、また一興ですね。
一風変わったフジミのファルコン、話のタネにおひとつ如何でしょうか?
2015年8月28日完成。
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