凸モールドプラモ考察

久しぶりの更新になります。というか最近作れていないです・・・

さて、飛 行機プラモのモデラーが気にする事の一つが「モデル表面に彫刻されたパネルラインが凹か凸か」ということ。凸/凹 モールドが話題に上がる事自体で、「あ、この人は空モデラーだな」ってピンときます。今回はこの凹凸モールドについて語りたいと思います。

現在の空モデルの標準的表現の一つである凹モールド、これはそもそも外板継ぎ目の表現法の一つで、実機外板は重ね合わせただけとか、シールされて凸 になっていたりして、模型とは違うのはマニア周知の事実。けど80年代中期以降、各模型誌で凹モールドを礼賛する記事が溢れたもんだから、一気に凸モール ドが消えてしまいました。

この風潮が顕著だったのが1980年代でしたかね。当時の模型誌を読み返すと猫も杓子もすじボリ礼賛、キット の凸モールドをPカッターやカルコで彫り直し、そこへスミ入れする、ってのがナウいディテールアップ工作とされていましたっけ(爆笑)。今から見るとそこまでしなく とも、と思います。

空モデルの雄、ハセガワが凹に切り替えたのもこの頃で。タミヤは結構悩んだらしく?48零戦52丙/32型や雷電とかで場所ごとに凹凸入り混ぜたモールドで、コダワ リをみせていましたね。海外メーカーではイタレリあたりが最後まで凸で頑張っていたようなんですが結局凹になったようです。

凹モールドの利点としては、スミ入れが出来て精密感を出せるとこ ろでしょうか。パーツ合わせ目したときパネルラインが消えても彫り直せばOK。これは凸では難しいです。ハウツー本などでは、消えた凸線の再生に伸ばしラ ンナーを使ったり、カッターに瞬間接着剤を流すなど幾つかの手法が提唱されておりますが、今だ決定的なものは無いようです。

ところが案外不思議なもんで、ハセガワやタミヤのカタログの作例を見れば判る通り凸のままでも気にならない。大体にしてプラモの出来栄えなんて基本 パッと見だから、コンテスト上位を狙っているならともかく、個人で楽しむのには凸で十分なんじゃないか?って気がするんですよ。この辺は作り手の自己満足の世界なんですよねぇ。

私自身はスミ入れもパネルラインもあまり気にしないというか、キットの良し悪しは凸/凹だけで判断せず、
むしろ全体の雰囲気とか印象、作り易さの方が大切かなって思っています。彫り直しも気が向いた時しか凸→凹への追加工作はしないようにしています。ま、やって出来なくはないので、気が面倒なので向いた時にしかしませんが。

なお、モデラーさんの中には凸モールド=
古臭い、ダサいという人/凹モールド=新しい、精緻で素晴らしいというキットという人がいますが、そうでもない幾つかの事例を最後に紹介します。

@LS彗星艦爆
日本プラモ史に残る名作キット。初版1960年。今から見ると色々辛いキットだけど、当初より凹モールドで同社の技術力を物語っている。なんと日の丸まで凹でモールドされている。
           


A某誌ライター先生が大絶賛の旧モノグラム社のF-4C/D。72、48共に傑作だとか。モ社のキットは凸でも評価の高いキットが多い。
                   


Bハセガワ1/32 P-51D
モノグラム社に負けていないのが70年代のハセ旧32。太い凹ラインと細い凸ライン、外板浮きやゴツゴツな凸リベット等で表現はナカナカ。これぞ1/32って感じがする。80年代に出た同社48のトム猫とは対照的。

             


Cタミヤも80年代は模索中。この零戦や雷電などはあえて全面凹とせず、凸との併用で表現法でリアル感にチャレンジしていた様子。
          


D番外編
イタレリ72のF-15はなんと金型改修で凸→凹に変身している。他にはハセ72のF-18もそうだとか。この例はあまりない。
 
  

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