エルエス S&W M645

LS 1/1 Smith & Wesson Model645 

スミスアンドウエッソンM645、今は無きプラモメーカー、LS(エルエ ス)の組み立て式エアソフトガンです。いわゆるプラモデル・エアガンですね。ヤフオクに出ていたので懐かしくなりつい落札してしまいました。
※絶版品になります。

さて、エルエスといえば国産プラモ黎明期からの老舗として数多くの傑作キットを世に送り出したことで知られていますね。オールドプラモ・ファン にとっては記憶に残るメーカーではないでしょうか?当時としては精緻 なディティール絶妙なスタイル、可動ギミック、通なアイテム選定、お求めやすい価格等 々・・・モデラーには一目置かれる存在でありました。

同社については各プラモ・サイト様で色々紹介されているから本稿では詳しいことは割愛しますが、
倒産から20年以上経った現在でも多くの顧客に愛されるメーカーってもの珍しく、2014年5月現在でも「○○のキットはLSが最高」というベテランモデラーさんもいるぐらい。 「技術のLS」のキャッチコピーは決してダテじゃないですね。

不肖私も、ガキの頃エスエスさんには大変お世話になったクチで、作ったなぁ・・・彗星艦爆や4式重爆飛竜、1/144のP-3C・・・、今でもアリイ(マ イク ロエース)復刻版も含め10個ほどは旧エルエスの製品をストックしています。けど、私がLSに一番「お布施」したのはエアガンでした。
純スケールモデル・ファンの中には、LSがGUNに手を出したことに否定的な見解をされる方もおら れるようですが、私は肯定したいと思います。

GUNのエルエス
80年代初頭のエルエス社は飛行機や車のいわゆるスケールモデル以外にも1/1で銃器のプラモデル も多数リリースしていました。これらは金属製の本格的モ デルガンではなく、廉価なプラモデル形式のモデルガンであり、弾は出なかったようです。その後80年代中盤以降のいわゆるサバイバル・ゲーム大流行に伴い、6oBB弾を発射できる組み立て式エアガンのプラモデ ルを次々と市場に投入しました。

商品ラインナップとしては拳銃からサブマシ ンガン、ライフル銃までメジャーどころは一通り揃い、他社よりも充実していたように記憶しています。値段の割にはリアルな外観でそれなりに飛んだから人気が有ったんですよね、このシリーズ。また組み立て式の他に 完成 品も ありました。変わり種ではコンバンットナイフや手榴弾のプラモもありました。

ちなみに現在のトイガン界の盟主である東京マルイの基礎?となった ¥1900ハンドガンシリーズも80年代はまだラインナップは少なく、外観もLSに比べるとイマイチ(
ただ、飛距離と命中率、頑丈さという点ではマルイは当時から抜きんでていた)。当時はLS の組み立て式のシリーズが圧倒的にシェア優勢で、トイガンメーカーとして 果たした功績は大きいでしょう。

S&W M645に ついて
米国最大の銃器メーカーS&W社が、競合コルト社の規格である45ACP弾を発射できるよ うにしたのがModel645。「ガバの弾が撃てる SWオート(?)」です。日本では、80年代に流行した米国TVドラマ「特捜刑事マイアミ・バイス」において、ドン・ ジョンソン扮する主人公の愛用銃と して人気がありました。派生モデルとしてはM745があります。



人気の割にモデル化には恵まれていなくて、記憶 では、マルイ、LS、そして今は無きMGCの超傑作ガス銃(サイクロンバレル搭載)位ですかねぇ。個人的にはW社あたりに商品化希望です。

GUN系は離れて久しいので詳しく知りませんが、たしかS&W社ではシル バーモデルに対して’6’つけるのが慣例であったような・・・。だから黒い M645ってのは個人的に違和感あり。なお、MGC社では、M645 のバリエーション商品として、M445(後述)なるブラックモデルを 発売して いましたが、どうらや実銃には存在しないモデルのようで?あ れはMGCオリジナルかも知れません。

製作方針
今回は、無塗装素組でいきます。正直、継 ぎ目消して綺麗に塗装すれば、モデルガンもかくや、の仕上がりも出来なくはないです。しかしそれをしてしまうと、分解メンテできなくなるんですね。そうい う 事は内部メカが壊れてからでも出来ることだし、キットの性格からしてディスプレイモデルなんて「らしくないです」。後でこわれた時にシルバー仕上げするこ とにしましょうかね。

製作開始

まずはパッケージをご覧下さい。どうでしょう?25年前の雰囲気が伝わるでしょうか?当時はエルエス以外にも東京マルイやクラウンモデルから組み立て式の 拳銃プラモデルってのが沢山売っていて、ちょっとした勢力でした。発射方式もエアー式だけでなくストライカー式もあったし、弾自体は出ないがスライド動作 するマルイの 「作るモデルガン」シリーズなんてものありましたっけ。






箱サイドです。メカやら遊び方が記載されていて、やたらに熱い能書きで す。「すばやく作っていざ!フィールドへ。」「君はもう作るしかない・・・ネ‼」(笑)。。 ハイハイ、今から作りま すから。しかしグリップにポンプを仕込むアイデアは大感ゲキするほどなのか??これはかなり疑問。

箱を開けるとこんな感じ。開けた際の感激と完成後のイメージが伝えるこの演出。当時の細やかな気遣いが感じられます。フレームとスライド、左グリップが仮 組みされ台紙に留められています。スライドはよく見るとちょっとヒケが見られます。

台紙の下には各パーツがあります。組み立て説明書の他、アンケート葉書とターゲット用紙、6oBB弾が付属しています。組み立てにはニッパー、ドライバー 大小の他、ピンセット(バネを仕込む)があると良いです。

パーツ構成です。普通のスケール・プラモに比べ非常にあっさりしています。フレームはいわゆるモナカ割り。プラはABS樹脂によるもの。バネやネジ、ウエ イト、チューブ入りグリスなどが 同梱され、製作意欲を 大いに刺激します。「塗装なんてどうでも良いから早く作れ!」ってな 雰囲気がビシバシ伝わってきますねぇ。この雰囲気こそが昨今のプラモに欠けているの です。

念のためABS樹脂用接着剤を準備しました。ABSは近年でこそ艦船模型やガンプラで使われる素材でなのだけど、昔は「ABSのプラモ=銃」でし た。そういえばフジミのディアブロ(車)もABSでしたね。まさに銃プラモのためにあるような接着剤ですが、肝心の銃プラモが絶滅した2014年現在でも しぶとく売ら れて います。なお今回は結局使いませんでした。

シリンダーを組みます。これがパワーユニット。ガキの頃は中のバネを強力な物に換装したり、カスタムを試みたもんです。ま、強化カスタムするとプラパーツ が負けて結局破損し てしまうんですが。

アルミバレルを組みます。これがあると命中率が高そうな気がするから不思議です。この手もカスタムパーツが色々でていましたねぇ。ただしエルエスのバレル はそんな精度が出ていなかったような記憶があります。

シリンダー、バレルをフレームに組み込みます。本キットはスライドによるコッキングが左右動作なのに対し、ポンプは上下動作・・・。箱サイドの能書きで熱 く説明されていた、エアーを直角に誘導するメカニズムはどうにもパ ワーロスやパーツの耐久性に疑問が残ります。

ハンマーは右側が思いっきり空洞で、リアル感を欠いています。ヒケ対策なんだろうけどもう少し工夫がほしいですねぇ。どうも銃モデルは右側のディティール が甘いものが多い。実物が右利きに作られているせいなんだろうけど・・・。

その他、内部パーツをランナーから切り離してどんどんフレームに組み込んでいきます。簡単なようで案外めんどくさいです。ところどころグリス塗るもんだか ら、手がべたついて難儀します。こりゃ塗装どころじゃないです。

フレーム左右を合わせます。ダボが多いので慎重に組み付けないとピッタリ合いません。ここはちょっとコツのようなものがいるかもしれません。3回目のトラ イでようやく合いました。

スライドを差し込みました。これもタミヤのプラモみたく一発でパチピタとはいかず、バネの噛み込み具合を調整しないと入りません。

外装小物類と「割り箸マガジン」を組んで、ハイ完成〜。


完成
完成したLSのM645。直線的で美しいスタイルです。個人的には自動拳銃で一番カッコ良いと思っています。でも、やっぱ黒は違和感ありますかね。

製作時間は一時間ちょい。 今時のスケールモデルみたいに、完成までに数日を費やすのにではなく、お店で買う⇒ソッコーで組み立てる⇒完成後に遊ぶ、という単純明快なプラモの楽しみ 方を体現したキットの一つといえましょう。やれ危険だの、教育上に問題あるとかそういう お堅い意見はさておき、作る喜びと完成 後の遊びが合わさった良い商品だと思います。

気になる実射性能は・・・あんまり飛びません(笑)。せいぜい20m位でしょうか。特にヘビーウエイト弾だと10m位で急に失速して落ちる感じ。狙って撃 つのは5m位かな。。。東京マルイのP226(18歳以上)と撃ち比べしましたが、命中率と飛距離で完敗です。まあ、トイガンはパワー不足位が安全で宜しい、と解釈しましょう。

完成記念にM745(LS完成品)、およびMCGのM445とツーショットです。しかしM445なんて実銃でありましたかねぇ。 もっとも、私自身はGUNモデルにはまったのはごく短期間で、その後あちらの業界での経緯はよく知りません。わかっているのは東京マルイが電動ガンで天下 を 取り、その他大小入り乱れたトイガンメーカーや老舗MGCまでも淘汰されてしまったことくらいでしょうか。

マルイさんには、プ ラモデルファンの立場からはかなりの恨み節&要望もあるんだけど、それはまたの機会に置いておきまして、とりあえずはおめでとサンといっておきましょう。

25年ぶりのトイガンプラモデル、無塗装素組でも十分に楽しめる良い商品です。かつての古豪LSさんが示したプラモの一つの方向性、今の時代に見直されて 良いと思います。

2014年5月24日完成。

プラモコーナーに戻る


TOP


                   Copyright  2012 KOZY-Syouten ALL Rights Reserved