F-8E
Crusader Monogram
1/48
モ
ノグラムの1/48
F-8Eクルセイダーです。これは有名なキットですね。模型誌などで作例をよく見かけたし作った方は多いんじゃないでしょうか?色々欠点を指摘されてい
るようですが私自身かなりテキトーな性格なので、素性の判らぬ評判は気にしません。そもそも「極端すぎるディフォルメ」や「破滅的に合いが悪い」で
なければ、 少しくらい荒唐無稽なキットでも許容範囲です。
このキットの場合だとや
れ凸モールドだとか、シートが違うとか、主翼の付け根内部が筒抜けとか模型誌などで散々叩かれているようです。まあ人気機種だけにあれこれ言いたいの判
るけど、自身がロクに完成できないのを棚に上げてエラそうにキット批評するなど全くもってナンセンス。「プラモの良し悪しは完成させてから語るべし」というのが個人的な持論で、ましてキット批判するのであれば最低限、その人自身がいったんは完成してからあれこれ言うする、というのがスジというものでしょう。ようするに、だ。
モデラーなら”製作記”だの”キット評”などと、イッパシのこと言いたいのなら、まずその前にオノレの完成品を出すべきなのだ。
さ
てキットですが、たまたま持ち合わせていたレプリカ誌88年11月号の海外新製品情報に記載があって、恐らくは88年末か89年頭に発売されたものだと思
います。日本ではハセモノ版が流通していて、90年代も何度かデカール変えで出ているから結構ご存知の人も多いのではないでしょうか?
右写真:レプリカ誌88年11月号の海外新製品情報より
発売前?の寸評でいきなり「肩すかし」と書かれています。こりゃあ手厳しいですねぇ。
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このハセモノ版、ハセガワオリジナルのメタルシートと大判デカールを追加しておきながらリーズナブルなお値段で供給されていたお買い得商品です。後年にハセガワが新金型で出したからといって、存在意義が無くなるものでもありません。むしろ作り比べを
し、両者の違いを楽めるようになったのは大変に有難いことです。
さてどんな風に作りましょう?。モノグラム・キットの作り方は人により凸ラインを「全部(あるいは一部)彫り直す」/
「全く彫り直ししない」に大別されているようです。めんどくさがり屋の私としては彫り直しは無し。これは楽ちん
で良いけど、凸モールドをなるべく潰したくないのでこれはこれでやはりめんどくさいわけです・・・。
とりあえず「エイヤー」でやってみましょ。
〜製作開始〜
今
回製作するキット(個体)です。ヤフオクで入手しました。品番HM121“ミグ・キラー”の商品。インストの記載に1997.2とあるからこの年に発売さ
れた限定キットのようで
す。ハセモノって80年代後半だけでなく、90年代中期も散発的に出ていたんですねぇ。大戦機ブームの影に隠れてあまり注目されなかったよ
うですが・・・。他にもデカール変えで幾つか出ていました。
パーツ構成です。機体パーツ3枠とキャノピーの計4枠。ずいぶんとシンプルな割りです。まあ本機はそれほど巨漢ではないし、単純な形状をしているのでこん
なものではないでしょうか
。これにハセモノ版ではメタル製シートが付属しています。モノから輸入したのはプラパーツのみで、これにメタルシートとオリジナルデカール、日本語イン
ストとパッケージで仕立て直したのがハセモノ版になります。
デカールです。 箱絵に描かれているVF−211の機体(101と110)の2機がチョイスされています。101が白ッ鼻、110は黒ッ鼻で多少異なる印
象、搭載空母も違うようです。塗装規定はタテマエで、現場では「見てくれよりも使えりゃいい」って感じだったんですかねぇ?。
ハ
セモノ版の特典、メタル製シートです。本キットのシートパーツが間違いなのは有名な話で、先のレプリカ誌でも早々に指摘されて
います。さすがにマズイと思ったのか、ハセモノ版では独自にホワイトメタルのシートを同梱でフォローしています。コスト的には
妥当な判断でしょう。現行のレベルモノグラム版では直されているんだろうか???
部品請求カードは入っています。ただし請求できるのはメタルシートとデカールの
み。タミヤWBシリーズみたくプラパーツはバラで提供していないようです。これが舶来キットの泣き所で、うーん、こりゃあ失敗できないぞ・・・。
ま
ずはゲートを残してパーツを大雑把に切り出し、台所用洗剤で脱脂します。舶来キットで、しかもハイビジ塗装ときたらこれはぜひやっておきたいひと手
間です。残留油分でインシグニアホワイトを弾いてしまうとリペアがすごく厄介で
す。近年の国産キットはそんなこと気にしなくて良いのですが。
主要パーツを大雑把に切り出します。モノグラムのキットはゲート(赤丸)が幅広の部分があって、切り出し
方が国産キットと少し勝手が違います。裏からデザインナイフで何度かなぞるとキレイに取れます。これは慣れればどうというものでもありません。
パイロン用の穴を開けます。着工してからしばらくはテンションが高く、「早くカタチにしたい」とこの作業を忘れがちですので、気付いた段階で早めにやってしまいます。うっかり忘れたとしてもこのキットの場合はパーツ表側からおおよその穴の位置が判るので取り返し
はつくにつはつきますが。ただし塗ってしまうとたぶん判りません。
水
平尾翼です。ウェルドラインがウネウネです(涙)。凹ならともかく、凸モールドの場合はうっかりペーパー掛けなど出来ません。しかし悩むには及び
ません。綿棒にコンパウンドを付けて磨いてやるとかなり消えてく
れます。凸ラインに掛っている部分はラインに沿って磨くと良いでしょう。もちろん、モールドのダメージも多少あるかもしれませんが、スッ飛んでしまうこ
とはありません。
舶来キットで良く有る現象「パーツ変形」です。軽くドライヤーで焙ったけど直りませんでした・・・。もう
少し強く焙れば直るかもしれませんが、熱で溶けたらシャレになりませんので作戦を変更して、強引に接着することにしました。
インストに変な所が幾つかあります。「6組つくってください」って記載
されているサイドワインダーが4発しか入ってねぇぢゃないの・・・。しかも後部フィンは一発成型されていて組み立て不要だし。途中で金型修正でもしたのか
なァ?。
ちなみにこのハセモノ版(右)ではコクピットフロアの塗装はC73エ
アクラフトグレーです。しかし後年のハセガワ48(左)ではC317ダークガルグレイ
です。どっちが正しいんじゃ〜いヽ(♯゚д゚)ノ。これも案外良く有る話
で、機種でもメーカーやスケールによって結構ちがうんですよねぇ。模型誌など
でもライター氏によって様々だったり、調べると余計に混乱するだけなので、今回はC317にしました。
コクピットです。フロアと操縦
桿をC317とエナメル黒で仕上げて、メタルシートを塗ればオシマイ。単座機だからファントムUやトム猫の半分の手間で済みます。
コクピットとエアインテークダクトを挟み込んで胴体左右を接着します。Mr.セメントSを使い少しずつ、
少しずつ慎重に接着していきます。ここで極力段差が出ないように、なるべくツラ
イチになるよう指の腹で確認しながら接着します。
継ぎ目を均します。無神経にペーパー掛けすると凸モールドがスッ飛びます。そこで凸モールド(パネルライン)をマスキングテープ
で保護してから、接合部(赤丸部分)のムニュ付けではみ出したプラをデザインナイフ
で「そそっと軽く」カンナ掛けします。きちんとツライチに接着できて
いればカンナ掛けする範囲はごく僅かで済みま
す。その後ス
ポンジヤスリでカンナ掛けの傷を均します。このようにして何箇所かに分けて少し
ずつ継ぎ目を均していきます。
ちなみに消えた凸モールドの再生方法は模型誌などでい
くつか
提唱されていますが、これを完全に再現することは難しく、空モデラー永遠の課題?なのかもしれません。
内翼上下を貼り合わせてから外
翼を接着します。今回は展開した状態で。内翼と外翼の接着部(青丸部分)
はでっかい隙間が生じま
すが、「ポリパテ盛って整形の繰り返し」なんてかったるくてやってらんないので、とりあえずセメントSで真っ直ぐに接着後、エポキシ接着剤と溶きパテを擦
り込んで一体感を出します。
胴体と主翼を接着します(緑丸部分)。ここの隙間も主翼と同様にエポキシ接着剤&溶きパテで処理。パーツが少し反っているので
一度に接着せず前と後ろで分けて接着するとプロポーション・ラインがキレイに繋がります。ここもサクッと攻略。このようにしてどんどん形にしてしまいますョ。
組みあがった機体です。全体形が見えてきましたねぇ。翼のエッジは少し厚い感じがしますけど、プロポーションはいい感じです。この後、サフを吹いてから機
体色で塗装します。
機体塗装です。C316ホワイトとC315グレーのツートンです。それが済んだらエナメルの黒でザーッと
ウオッシングします。ウェポン類や小物類についても順次塗装を済ませてしまいます。
最後にデカールを貼って半ツヤのクリアーで艶を整えてから小物類を取り付ければ完成!です。排
気ノズルのセットはちょっと注意が必要で、奥のパーツ(38)がインスト通りにスポッと奥に嵌りません。どうやら胴体左右貼り付けの段階で組み込む設計
で、これもインストの間違いです。ここは胴体内側のガイドモールドを一本削ってやればOKでしょう。丸彫刻刀が便利です。
それとサイドワインダー(後)と翼下パイロンのTER内側の間隔が狭いため、箱絵のようなサイドワインダー×4、M117爆弾×6のフル装備が出来ません
(※)。仕方ないのでM117は4発にしました。兵装パターンは説明欲しかったか
も。うーん、このインストは親切なんだか不親切なんだか・・・どうも間の抜けた感じがするんですよねぇ(笑)。それともパイロン逆に付けてしまったのか
も・・・?です。
※正確にいうとARC Air Medel Galleryのサイトでフル装備の作品画像が有るから出来ないことは無い様ですが、無理やり押し込めた風です。
〜完成〜
完成したモノグラム48のF-8E。実はクルセイダーのキットを
完成させたのは初めてです。ずいぶんスマートなスタイルをしているんですねぇ。
モノグラム特有のゴツゴツした凸モールドと相まってなかなか良い雰囲気です。米海軍機恒例の脚庫フチの赤は本機では塗らないパターンも多いみたいなので、
有難くもすっ飛ばしました。
作った感想としては、一部隙間の大きい箇所があるもののパーツ点数も少なくて作り易いキットではないでしょうか。珍しいことにこのキットは脚庫と脚庫カバー
が一体ユニットになっていて、後でポロポロ取れる心配がありません。飛行状態で作りたい人は少し改造が必要かも知れません。巷で言われている「欠点」
は全く気にならず、むしろインストにツッコミどころが多くて楽しめました。
デカール(カルトではない)は良質で、いつものハセの
デカールに比べると貼り易く、凸モールドにも良く馴染んでシルバリングもほとんど発生しませんでいた。ストレスなくパッパと貼れるデカールって気持ち良い
ですね。
このハセモノ版は、インストが何箇所か変な部分があり
ますが致命的というほどではないですし、日本語表記なのとメタルパーツ付属、お
よび貼り易いデカールを考慮すると総合評価では高ポイントなキットだと思います。ハセ新金型が出た影響か、オクで良く出回っているので狙い目かもしれませ
ん。
モノの48クルセイダー、なかなか良いキットという結論に達しました。
でわでわ。
2016年6月11日完成。
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