F-15C
Eagle Tamiya 1/48
タ
ミヤの1/48F-15Cです。本キットはもともと、F-15Aとして発売されたキットを1991年に金型修正をしてリニューアルしたキットです。ベース
となった
F-15Aのキットが発売されたのは1978年頃。一部を除いて全体的に精密な凹モールドが施されていました。当時は凹モールドはまだまだ珍しく、タ
ミヤの意気込みが伺えます。そういえば同時期に発売された1/32F-14Aですら機首以外凸モールドでした。
上
記A型のキットはそのまましばらく販売されていて、その後の湾岸戦争(1991年)でF-15Cの活躍がクローズアップされるやいなや一部を金型修正して
C
型とJ型にリニューアルされました。リニューアルといっても修正をのがした点が多少あり、完全にC型になりきれていないあたりがファニーです。なお金型改
修
に伴いA型は廃番となりました。
本
キットがリニューアルした1991年当時には既にハセガワが放った1/48F-15が市場にありまして、出来はハセガワの方が一枚上。そのうえ価格もハ
セガワの方が若干お安かった。しかしどういう訳かハセガワの48イーグルは品薄で、かわりにタミヤのこのキットが模型店では定番でした。なので日本
でいちばん入手性がよい1/48イーグルのキットと言えそうです。
こ
のキット、古いだけにヨンパチのイーグルの定番商品として長期間君臨しており、現在でも根強い人気があるようです。特に空自のJ型はヤフオクなどで稀に高
騰することもあり、人気の高さが伺えます。今回の製作で、その人気の秘密?を探りたいと思います。
〜製作〜
今回製作するキット(個体)です。これはだいぶ前に購入したもの。定価¥2600時代のキットです。恩田原タミヤ製。現在ではフィリピンに生産移管されて
います。ボックスアートは油絵タッチで躍動感ある仕上がり。購買意欲をそそりますね。
パーツ割りの印象としては、ハセガワの1/72(旧版)に似ているな、といった感じ。早々に形になりそうです。1/48にしては少々あっさり目ですかね。
なお脚中に仕込む補強用ピアノ線が同梱されています。
デカールは1st TFWと18th TFW、33rd
TFWの有名どころが3種。経年劣化のせいか、少し黄ばんでしまっています。はたして大丈夫なんでしょうか???
まずは台所用洗剤を溶いた水に2〜3時間漬け脱脂します。容器に入らない場合は余計なランナーをカットします。その後、水で濯いで乾燥。プラ表面がキュッ
キュッとした感じになります。
デカールの黄ばみは日光(紫外線)に当てると消える、との情報をもとにダメもとで天日干しにチャレンジです。ダメな時はタミヤに注文すればOK。夏場とい
うこともあり、3時間程度の天日干しを2回繰り返したところ、黄ばみがかなり消えました。
※注)トライされる方は自己責任で。
また本キットの良くない点の一つがこのキャノピー。前後共にゲート一本で繋がっているので(赤丸の部分)非常にクラックが入りやすいです。店頭に並んでい
る段階でクラック
が入っている事も多いので、購入前にぜひ確認したいところです。
なお今回の塗装作業はクレオスのラッカーをメインで製作します。資料?としてはハセガワ1/48のキットの説明図を参考にしました。本キットの塗装図は若
干省略があり、タミヤらしくないです。
まずはコクピットです。説明書通りに塗り分け、計器のデカールを貼りました。ここは面倒でも筆よりエアブラシの方が綺麗に仕上がります。完成後ほとんど見
えなくなりますが・・・
続いてACESU射出座席です。これはストレートでも良く出来ていると思います。酸素ボンベをデイトナグリーン、射出ハンドルをイエローで塗ると良い雰囲
気が出
ます。こだわる人はシートベルトを追加したり、バーリンデンに換装したら良いと思います。ちなみに金型改修前(F-15A版)のキットでは射出座席はエス
カパック
でした。
胴体下面にコクピットとエンジンファンを組み付けます。エアインテーク内部は念のためクレオスの308番、ファンはシルバーを吹きました。これも完成後ほ
とんど見えなくなりますのでほどほどに。
それが済んだら胴体上下を接着、とその前にテープで仮組して上下パーツの「はめ合い」を確認します。
金型が古さでしょうか、さずがに「合いのタミヤ」といえども機首部で多少の段差、ズレが生じることが判りました。機首部はダボが無いので、そのまま接着す
ると後で段差の修正に大変苦労しそうです。
対策として、機首下部につっかえ棒で少し広げてみます。
また機首上部にプラ板でベロを張り付けでダボの代わりとします。これで機首部が左右ともツライチになるように調整しました。他の部分も内側のバリを削るな
どして極力ツライチになるように調整します。
瞬間接着剤と流し込み本接着剤を併用し接着です。上下パーツになるべく段差ができないように注意して、少しずつパーツ上下を接着します。固定は輪ゴムで。
このまま十分に硬化するまで待ちます。
硬化後にペー
パー掛けで接合面をならします。事前にだいたいツライチに調整したので、整形は楽です。すこし出来たスキマは溶きパテを塗り、乾燥後にペーパー掛けをして
消しました。消えたスジボリの彫り直しは今回はパス。パネルラインが前後方向で少しズレたので・・・すっトボけることにしました(汗)。
主翼裏側もパーツ接合面ができます。ここも適当にすり合わせて、スキマに溶きパテを塗りペーパー掛けしました。
胴体Assyに主翼をくっつけます。ハセガワ1/72同様、この主翼上面の接合ラインは実機にはないのですが、合いがとても良かったのでこのままでも目立
たんだろう、と
思い、そのままとしました。主翼前縁と主翼下面の接合面には少しスキマが出来ますので、ここは溶きパテで埋めました。ノーズもここで接着。少しだけすり合
わせ、スキマを溶きパテで埋めます。
エアインテークも組み立てます。上部にパーツ接合ラインが出来ます。ここのパーツは何故か凸モールドです。なので無理にペーパー掛けせず、スキマのみ溶き
パテで埋めました。エアインテーク自体は塗装後に後付けにすることにします。
ここまででだいたいの組み立て作業は完了。後は塗装がメインの作業になります。尾翼をはめてみると全体の大きさが見えてきました。
コクピットをマスキングしてクレオスの308番ライトゴーストグレイをブァ〜と吹きます。図体が大きいので2瓶ほど使いました。
次に迷彩パターンの型紙を作ります。今回は説明書を拡大コピーして1/48大にし、それをトレーシングペーパーで複写して型紙を作りました。
型紙を貼り付け、クレオスの307番ダークゴーストグレイを吹きます。
今回、迷ったのがキャノピーフレームの色です。ここはコッパー(銅)を指定しているキットが多いです。しかしながらよく目にする空自機の写真では
「使い込んだ10円玉」のような色に見えます。市販のカラーでは赤褐色が近いかな・・・?取り敢えず今回はエナメルのブラウンに黒を少々混ぜたものを吹き
ました。
P&W F-100エンジンのノズルは、このキットでは「ターキーフェザー」と呼ばれるカバー付きです。実機では早々に取っ払わらていることは有
名な話。キット指定マークには時期的にそぐわない気がしましたが、そのままとしましました。ここを「見せどころ」としたい人は、別売りパーツあるいはハセ
ガワかイタレリあたりからトレードするのも、また有りでしょう。
脚収納庫や後部の金属地肌部、その他の細部や、小物類を塗装します。完成まであと少しです。
マーキングは「ガルフスピリット」33rd TFWにしました。前回のハセガワと同じです。ノーズのキル・スコアがとてもイカします。
現用機、特にハイビジ塗装は注意書きが多く「ステンシル地獄」などとも呼ばれていますね。ここで焦ってもロクなことはないので2日ほど掛けてのんびり貼り
付けます。細かいデカールは絵画用の極細筆(安価な物)ですくうように貼ると作業が早いです。
乾燥後に仕上げに半ツヤのクリアーを軽く吹き付けます。最後に小物類を装着し、完成です。今回も接着強度を要する部分以外はピットマルチ2で接着しまし
た。
〜完成〜
完成したタミヤの1/48イーグル。1/48のデカさとあいまってナカナカの迫力です。先に述べたように、今となってはかなりのオールド・キットで細部も
少し甘いのですが、こうして組んで塗装すれば年代を感じさせず、とても良い雰囲気です。
胴体上下の接着に注意する以外はとても組み易いです。今回、十数年ぶりに完成させてみて、「細部は甘いけど全体的にはとても良いキットだなァ」と素直に感
じました。このフレンドリーさがロングセラーの秘密かも知れません。
今回の反省点
@胴体上下パーツの接着。左右方向をツライチにすることばかりに気を取られ、前後方向がわずかにズレてしまった。
A胴体AssyとエアインテークAssyをすり合わを忘れた。結果的に塗装後の接着でスキマが生じた。
B胴体Assyとエンジンノズルのすり合わを忘れた。ノズルも若干のスキマが出来た。
む〜これも次に生かしますかね。
2012年8月22日完成。
|