どこのどなたの作だろう?

私 の生まれ故郷は江戸時代の昔より綿や生糸の加工で栄えた地域で、昭和の終わり頃までは織物関連の工場がたくさんありました。裏を返せば地形的に山間部の やせた土地で、おコメを生産するにはちょっと・・・だったのかも知れません。が、とにもかくにも地元を代表する産業といえば繊維業だったわけです。

さて、そうした地場産業を下支えしたのが個人が営む機屋(はたや)さんです。だいたいは自宅敷地内の一角に作業小屋を建て、そこの家族や近所のおばちゃん たちが副業的に4,5人集まって、ハタオリ機や足踏み式ミシンでもってワイワイと小規模生産する、というのが昭和の終わりごろまであったんですな。まあ「内職の少し拡大版」といったイメージです。

仕事が上手な内職工場は、忙しい時だけご近所さんに手伝ってもらっていたのがいつの間にか定期的に安定な受注が増え、作業小屋ではとても副業的で は捌ききれないから法人登記していわゆる「会社」となり、そうして事業を拡大して成長する・・・「会社は生命体である」とは良く言ったもので、上場企業でもこうしたルーツを持つ会社は珍しくは有りません。

こうした単細胞・原始生命体のごとき内職工場を問屋制家内工業というらしく、実際見たことなくても社会科の授業で習った人も多いでしょう。けど令 和の現代でもちょっと郊外に行けば、敷地内に住居や倉庫とは明らかに違う、ミニ工場らしき建屋を構えた民家をたまに見かけます。一般個人がMy工場を所有す る、なんて夢のような話が今でも現実に、あるのだ。

さて、そんな昭和末期、われわれガキどもの間で一つのうさわ話が流れたことがります。なんでもどこかの家内工場で、エアーガンを作っているというというの です。「うちの近所でMGCの下請けやってる」とか、「あそこの建屋の中には組み立て中のエアガンを見た」とか。まあ自分で見たわけでないし、 ただのガセかもしれんけど、あり得ない話でもありません。


というのもあの時代、「サバイバルゲーム」なるものが大流行しておりまして、老舗から無名の新興メーカーまで有象無象のエアソフトガン・メーカーが乱立していたから です。玩具業界は昔から内職や家内工業と関わり合いが深いといわれており、例えば末期のLSなどは組み立て式プラキットガンわざわざ完成品として同価格で 販売していました。その組立作業はどうしていたのでしょう?

トイガンは簡素なパーツ構成ではあるけれど、あれを問題なくきちんとタマが出るように組むには大人でも小一時間はかかるものです。その組み立て工賃 はどうしたのでしょう?まだ安価な海外製品などほぼなかった時代です。それを考えるとあの噂話も、一概にガセネタとは言い切れないのです。はたして真相はどうなのでしょう・・・?

地方の目に付かぬ、小さな作業小屋でおばちゃんたちがガヤガヤと、トイガンを組んでいる・・・そんなシュールな光景が、もしかしたら、あったのかもしれませんね。


2022年11月19日

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