AH
-1J Sea Cobra Fujimi 1/72
フジミの1/72
AH-1Jシーコブラです。なぜ突然作ったかというとAH-1コブラである必要は無くて、単純に昔ながらの「筆塗り」で作りたくなったか
ら。近年は田中式など筆塗りが見直されていて、何処ぞのガンプラ・コンテストでは上位入賞作品は皆筆塗りなんだそうです。 確かに筆塗りのタッチは見てて飽きの来ない、独特の風合いです。その感覚は良く判る。だ
がしかし。
筆塗りかぁ・・・はい、苦手です。(´・ω・`)
筆塗りは仕上げにこだわると難易度が急に上がります。筆も塗料も塗り方も人それぞれ。エアブラシが広く普及した現代からすると少し意外に思うかもしれませんが、その昔、昭和の時代はエアブラシはべらぼうに高価な
機材で、持ってるだけでステータス。それこそ先生クラスの名人が使うようツールで、それに対し筆はペーペーのツール、そう思ってました。
しかし実際は逆のようで。正直なところ、子供のお絵かきのように、ただ筆でペタペタ塗るだけだったら誰でもできるんだと思います。そうではなくて、塗料や筆を吟味し、
少しずつじっくり塗り込むという、「技法」としての筆塗り
というのは、やはり先生クラスの名人のみが体得している高等技術であり、それは今も昔も変わらないでしょうか。
要するに上手く塗りたきゃ、高価なエアブラシを買うかちゃんとした筆塗り技法を身に付けるかで、スポンジ塗装法など特殊な方法を除くと現状はほぼ二択になるわけです。そういう意味からすると市販のプラモデル用塗料って、使いこなすには全くの初心者や年少者にはややハードルの高いシロモノといえそうです。
だけどそんな事は子供時分は知らんから、ボックスサイドやカタログのように綺麗に塗れ
なくてすっごく悔しい思いしたんです。だから大人になったら絶対にエアブラシ買ってやろうって。後年、ワークの「しずか御免」が買えた時は嬉しく
て嬉しくて・・・あれで吹き付け塗装した時の感激は今でもハッキリ覚えている。あ
の時から筆塗りは捨てた。
ちょっと余談:「しずか御免」って、何だそれ?
神戸のアクセルワークさんが1995年に発売した簡易式コンプレッサーとピースコンのセット。安永製ポンプと明治機械製ピースコンMP-3の組み合わせで大ヒットした。
90年代中期、ハンドピースのエアブラシはまだ庶民にとって高嶺の華であり、それを世に広く提供したことは同社の大きな功績である。 今回の主旨とは思いっきり逆だが、この場でワークさんの偉業を讃えねばなるまい。
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ち
なみに「しずか御免」を買った当時、奇しくもMA増刊No.475「飛行機プラモ
塗装と仕上げテクニックガイド1」において理詰めの根拠に基づいた筆塗り技法の紹介があって、「そうなのかぁ、筆塗りってこうするとキレイに塗れるんだ」と思いましたが、かえってエア
ブラシより面倒な気がしたので実践はしなかったんですね。
えーと、それで結局話を戻すと、今回どういう訳か筆塗りすることになったのです。理由は安直で「昔ながらの即日製作」したくなったから。それなら筆塗りかなと。今なら子供時代より上手く塗れそうだし・・・(根拠なし)。
20数年ぶりの筆塗り、どんな風にしあがるのでしょうか???
〜製作開始〜
今
回製作するキット(個体)です。ヤフオクで入手しました。「舵輪フジミ」時代のお品。定価¥400。これなら筆塗りでもいけそうです。それにしても古そう
です。ちょいと調べたらプラモカタログ(KKワールドフォト・1978年)に既に載っており、70年代の金型かな・・・?。そういえばフジミ
はかつて「ヘリ
のフジミ」と
呼ばれるほどヘリコプターのキットが充実していたよね。
パーツ構成です。2枠+キャノピーの計3枠。うん。いいです
ね、こういうシンプルさ。昔のDXビッグワンガムをさらに豪華にした感じ。成型色は濃緑色でモールドは凸。これなら無塗装素組で作っても結構良い感じになるんじゃないでしょうか?
デカールです。ちょい黄ばみ。箱から察するにこのキット個体は恐らくは30年以上前と思いますが保存状態が大変に良く、普通に使えました。素晴らしい。
ちょっと寄り道。インストのパーツリストには各部品の名称があり、これは「良い」でしょう。何で今のキットにはこれが無いんだろ??
指定カラーは東邦化研モデルカラー。「必要な塗料をそろえて美しく仕上げて下さい」ってあります。じゃ揃えましょうか。
塗料です。個人的に「筆塗り=水性カラー」って図式があるので、昔
の塗料在庫からかき集めてきました。艶消し白、艶消し黒、オリーブドラブ、銀、
赤、黄の軽6色。水性カラーなんてほとんど使わないから不良在庫です。X-11銀
は何の用途で買ったんだろう・・・?それにしても干からびずによく20年以上持ったもんだ・・・。
※今回、水性カラーの選択は失敗だったかもしれません(後述)。筆は¥100ショップの安物です。これも失敗(?)。
はじめにコクピットです。のっけからザッとツヤ消し黒一色で塗り、乾いたら計器盤にデカール貼って、ハイ、お終い。ムラは気にしなくてOK。キャノピー
載せたらどうせ判りません。久しぶりの水性カラー・・・なんか塗膜が弱いですね。少し擦った程度ですぐ剥がれてくる・・・。あれ?こんな使用感だったけ・・・?
コクピットと翼挟んで胴体左右を合わせます。ローター基部も組んで胴体に載せます。合
わせ目処理(ペーパー掛け)はしません。即日製作ならここは潔くパス。そんなませた作り方する子供はあまり居なかった・・・と思う。ここまでで1時間くらい。楽勝楽勝♪
いよいよ「筆塗り」です。タミヤ水性XF-62オリーブドラブでペタペタと筆塗りします。昔の記憶だと水性塗料って薄めて使った記憶が無いです。ビン生のまま平筆で
1〜2回塗ってお終い、だったと思います。で、そのように「ふんふんふん〜♪」とノリノリの気分で塗ったところ・・・
なんじゃこりゃあ〜!!! どぉえへぷ!!(上2枚写真)
なに?このコキタネェ塗装面は?私、こんな”ヌリ下手”だったけか・・・かつて嫌というほど味わい、強烈なト
ラウマを植えつけたゴテゴテ感、この禍々しさ。それを20数年ぶりに再現してしまったではないか。意図的にゴテゴテを狙ったならまだしも、フツーに塗ってこれはNG。刷毛目も乱雑で「絵」になりそうそうにない。やっべぇ・・・失敗作の予感がしてきたぞ、これ・・・。
ここはイチかバチかで水性塗料の上から薄めに溶いたMr
カラーC181
半艶クリアーをエアブラシでオーバーコート(ドバ吹き)して塗膜をトロかし、ゴテゴテ凹凸とツヤを整えます。これ、ちょっと乱暴なやり方なのですが・・・この処理のため不本意ながら「即日製作」は断念し、一晩越しました。
気を取り直し、他の小物類のパーツも
小物類も筆塗りします。ペタペタペタ・・・。あれ・・・?タミヤアクリルのX-
11クロームシルバーって何か変ですね。ボソボソして塗りにくい・・・。粒度もエナメルと全然と違うぞ・・・。そういえばH8とか水性塗料の銀って、昔からこんなギラギラした粗い粒で、エナメルやラッカーと質感が異なっていたんだよねぇ。
細部塗装を施した後、デカールを貼り付けてから再度艶消しクリアーでオーバーコート。
最後に小物類を取り付ければ完成です。
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〜完成〜
完
成したコブラ。今回は超手抜き製作なだけにあまり出来にはこだわらないつもりでしたが・・・塗装面があまりもアレだったのでエアブラシで修正です。ホントは使いたくなかったけど、パッと見で判んない程度にゴマかすことはできたようです。うん、失敗作って程はひどくない。もし「今風に」キチッと継ぎ目も処理してエアブラシ塗装して作ったらどう印象が変わるのか、これまた興味深いですね。
今回の製作日数は2日。パーツも少ないし、継ぎ目処理しなければこんなもんです。しかしながら、
「こんなの楽勝♪」→「ギャー、しくじった!」→
「これで何とかごまかせそうだ」→「ふ〜、手こずらせやがって」
といった一連の流れは他のキットと一緒でした。これはいつもこのパターンです(汗)。
キットに関しては、実機の事は詳しくないので再現度の事は良く判りません。が、作り易いさは現代でも十分合格点。凸
モールドも気になりません。ヘリのプラモを作りたい人にはおススメだと思います。一つだけ注意点が有ります。そのまま作るとシリモチつきます。ここはオモ
リの指示が欲しかったですね。
そ
れにしても今回の筆塗り・・・予想外の苦戦です。まあ、いきなり上手には塗れません。凡人が天才ぶったって、しょうがないのだ。20数年ぶりの筆塗り製作、出来はともかく得るところは大きかったようです。こういうのもたまには良いかもしれません。土日で出来たけど、このやり方は精神的にはちょっと「来る」かもしれません。修行不足でしょうか。
こりゃあ、作戦練り直しですかねぇ(´・ω・`)。
2017年5月21日完成。
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