S-3A VIKING Hasegawa 1/72
ハセガワの1/72 S-3Aバイキングです。
米海軍の対潜哨戒機ですね。つい先日(2016年1月)に米海軍から完全退役し、NASAに移管したんだそうです。日本にも厚木航空基地に滞在していた時期が有って、ファンの方も多いのではないでしょうか?四角くて
寸詰まりなスタイルはファニーで愛敬があります。
その独特のフォルムからプラモでも人気のアイテムだとは思ったら、意外にキットは少なくてハセ72の他、エアフィックス72とエッシー48(イタレリから
再販)位しか記憶に有りません。その他だと食玩とか空母プラモのアクセサリーとかで有りますが、入手性からしてバイキングのプラモといったら日本ではこの
ハセガワ製が一
般的でしょうか。ハセかタミヤから48で出してほしいアイテムです。
ハセガワ72のキットの発売年については良く判りません。結構ベテランなキットで、「プラモカタログ(KKワールドフォトプレス1978年刊)」では既に
リストに載っているので、70年代中〜後期の金型かな?とは
思います。87年頃にパッケージのリニューアル、デカール改訂と共にちょこっと金型改修をされたみたいです。ハセガワからは他にUS-3A(カタログ落
ち)が出ています。
個人的には、この丸みのあるスタイルが昔から大好きで、少年時代に一度このハセガワのキットに挑んだことがあります。が、当時の製作技術では手に負えるシ
ロモノ
では無く、途中であえなくゴミ箱行きへ(涙)。それ以来、この機には手を出したことがなくて。大好きな機種なのにこれまで一つも完成させたことが無かっ
たのです。例外としてはアリイ1/800空母の艦載機を作ったくらいでしょうか・・・。
30年越しのリベンジ、果たして相成るでしょうか???
〜製作開始〜
今
回製作するキット(個体)です。ヤフオク落札品。旧箱パッケージで、おそらくは30年以上前の個体だと思います。1/72デラックスシリーズ。デラックス
かぁ・・・
何ともいい響きです。インストもホチキス止めの全8ページ、側面のカラーガイドまでついてデラックスの名に相応しい体裁をとっています。定価¥1000
(初版は¥900?)。
これは1980年頃としては高級キットの部類です。現行版でも大幅に値上げされておらず、今では反ってお買い得な位です。
パーツ構成です。計5フレーム。ほほォ、1/72としては確かにデラックスだな・・・。しかも主翼フラップを別パーツにしているあたり、ちょっと高級感が
あるぢゃねぇっスか。モールドは綺麗な凸モールドです。凹じゃなきゃイヤって人は頑張って彫り直しましょう。
デカールです。この時代らしくVS-29とVS-21のハ
イビジ機の2種が指定されています。少し心配。30年前のデカールでも多少の黄ばみやヒビ割れなどはま
あ、普通に使えるのだけれど、極端に古いやつだと台紙となかなか剥がれてこないので事前にテストが必要になってきます。最悪メーカー取寄せや別売りデ
カールも無いってパターンもあるからなぁ。。
カラーガイドです。これは嬉しい演出で、製作意欲を掻き立ててくれま
す。ラミネーターでパウチすれば下敷きになるかも。
インストも写真を使って丁寧な説明が付記されており、なかなか親切です。まるでタミヤさんのキットみたいですねぇ。細やかな気遣いにほのぼのとした昭和テ
イストを感じさせられます。
と、思いきや塗装指定は現在のクレオスはなくて、か
つて東邦化研さんが販売していた「モ
デルカラー」で、しかも細かい部分まできちんと指示されていないんですね。モデルカラー指示は仕方ないにせよ、細部塗装の指示が不親切なのはちょっとア
レ。今回は現行品を在庫に持ち合わせているので、そちらのインストを参考にしましたが、古いお品はこれが落とし穴なんですよねぇ。
は
じめにパーツ洗浄します。これは必須作業ではないのだけど、製造時期の古い個体や舶来モノはした方が良さそうです。特に今回はハイビジ機・・・これをパス
したばっかりに以前、別のキットで塗料を弾いて手痛い目に遭ってるので、後で泣きを見るくらいならやってしまいます。
コクピットです。フロア内をC317グレーで塗って、シートを取り付け、計器盤はデカールをペタッと貼ってお終い。デカールは古いながらも使えそうです。良かった良かった。
コクピットを挟んで胴体左右を貼り合わせます。Mr.セメントSを使い少しずつ様子を見ながら接着します。胴体下面の前脚収納庫やソノブイ投下口扉のパー
ツも組み込みます。
パーツ精度は良く、変な段差や隙間は無いです。40年近く前のキットでこのパーツ精度はオドロキ。さすが飛行機のハセガワです。それと機種にオモリを
仕込むのを忘れないよう注意です。現行版では訂正されておりますが、この旧箱版ではオモリの指示がありません。今回もドジをこいて入れ忘れ、見事にシリモチつきました。わひゃら!!
続
いて「主翼上面パーツのみ」を胴体とツライチになるように注意しながら接着します。で、最後に主翼下面を接着。なぜこの手順かというと、この「パーツ割
り」のパターンは3年位前に作った1/48コルセアUと同じで、その時に胴体Assyと主翼Assy
を合体させたら、胴体上部に大きな段差が生じてしんど
い目にあったためです(仮組で確認すれば良かったのですが・・・)。
さ
て上面は良いとして、主翼下面の付け根は胴体との間に大きな隙間(赤丸)が生じました。目測で
0.3o程でしょうか。こういう場合、ポリパテなどで埋めてペーパー掛けというのが定石工作です。しかしそれだと凸モールドの犠牲は回避できません。結局
スジ彫りをし直すとか無視する、という風になってしまいます。何か凸モールドを潰さずに隙間を埋める、良き策はないでしょうか?
その一つの回答として今回はエポキシ接着剤と溶きパテを使って埋めてみました。どちらも塗布後に綿棒で拭き
取ればOK。サンディングはしないから凸モールドへのダメージは無し。完璧とは言わないまでも目立たぬ程度にはなりました。後は他の部分の継ぎ目を軽く擦り合わせたり、隙間に溶きパテを擦り込んだりすれば組み立ては完了です。
さて塗装です。米海軍ハイビジ。ライトガルグ
レー(C315)/インシグニアホワイト(C316)のツートン仕上げです。白塗装は透け易いので予めグレーサフを吹いてか
ら本塗装です。はじめに白を塗ってからマスキングしてガルグレーを塗ります。この塗り分けは結構めんどくさいですが、塗り上がってくるにつれだんだん出来上
がってくるような感じがするのでワクワクします。
塗りっぱなしでも十分綺麗ですが、軽〜くスミ入れとウオッシングを施してやるとトーンが落ち着いて良い感じになります。これをやると凸モールドのキットでもうっすらとパネ
ルラインにスミが入ったような感じになるのでなかなか面白いです。
小物類です。米海軍機恒例の「脚庫フチの赤」は今回はあえてエアブラシ塗装をしてみました。いっぺんに塗るとマスキングの境目が滲むの
で、エアブラシを絞って少しずつ細吹きするのが
コツです。タミヤのペイントマーカーで仕上げる方法は合理的なんだけど、白地に赤がはみ出てしまうとシンナーで完璧に拭き取れず、赤みが残るんだよねぇ・・・。まあこれも
ケースバイケースでしょうか。
ここまで来れば作業もいよいよ大詰め、デカー
ル貼りです。しかしここで最後の難関が
立ちはだかります。なんとこのデカール、番号がふっておらず、インストでは全て「スライドマーク」の一言です。ひょえええ・・・。大ききものはともかく細
かいステンシル類はちょっと困るなぁ。さすがは旧箱・・・。仕方ないのでカラーガイドを参考に判る範囲で貼っていき、不明なものは無視することにしまし
た。
デカールを何とか貼り終えました。一日くらい乾燥させてから、半ツヤのクリアーでコートします。
最後にエンジンや脚などの小物類を取り付ければ完成となります。この段階でテールベビーに気付いたものの、もう後の祭りです。解決策としてはコクピットフ
ロアにガン玉仕込むか、コクピットの計器盤を引っぺがしてその隙
間から粘土注入、って手も考えましたが、反って事態を悪化させそうだったから止めました。お手軽にタミヤ48のA-10Aみたく「つっか
え棒」で誤魔化します。これで良いのだ。
〜完成〜
完
成したハセガワのバイキング。大きく広げた翼がなかなかの存在感、さすがはデラックスシリーズです。こうして見ると旅客機をディフォルメしたようなスタイ
ルですね。翼下に爆弾を
吊るさなければこれが軍用機だとは思わないでしょう。民間ジェットとしても普通に通りそうですな。
キットについては合いも良く、特に難儀する箇所も有りませんでした。今回のは旧箱版だったから色々説明不足の点も多くて戸惑った点も多かったですが、現行版では改善されているから
特に問題はないでしょう。プロポーションや細部については私自身は実機資料を入念に調べるタイプではないので良く判りませんが、「知らぬが仏」で普通に良いキットだと思います。
もっ
とも凸モールドなので、これがイヤって人は彫り直しすれば良いのかなと。ただし確実に工期が延びるから腰をすえてじっくり取り組む心構え?が必要です。私も学生時代は模型誌に書いてあることを真に受けて、チマチマ深夜までPカッターで掘っていたん
ですけど、最近では
凸モールドでも気にせずそのまま作ってしまうことが多いです。
あと毎度の事?ながら今回もポカミス多くや
らかして、70点位の出来かな・・・というところです。でも1/72としてはなかなか作り応えの有るキットだったから、まあ今回は完成しただけでも良しと
しましょう。キット自体は作っていて楽しいと思ったので、これはリピートしても良いかもしれません。
今回の「やあぁぁちまった」コーナー
@機首オモリの入れ忘れ・・・最終組み立て時に発覚。これには脱力しました。
Aソノブイ投下口扉周辺の赤枠ライン・・・ホントは主着扉に一部掛っているのがいるのが正しいのですが、間違って一回り小さく塗ってしまいました・・・。しょ
うがないからこのままデッチ上げました。
現行版では、@はインストに追記、Aはデカールが用意されている、のでまず間違える心配は無いと思います。
とにもかくにも、これで30年前のリベンジ完了!で
す。
2016年2月29日完成。
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