イタレリ 1/72 パナビア・トーネードIDS

Panavia  Tornado IDS Italeri 1/72


イ タレリの1/72パナビア・トーネードIDSです。実機は91年湾岸戦争の初期段階で最も危険な任務に投入されたことで有名です。一般に航空機 は地上ではただの物体だから、飛行場がやられると大抵の固定翼機は無力。だから軍事飛行場は何重にも防御態勢を敷くわけで、当時のイラクはオイルマネーで 鉄壁 でした。そこをかいくぐって叩いた本機の性能は世界屈指といえましょう。

さて、このトーネードはイタレリ製。キットの来歴は良く判りません。ただヤフオク出品物で試作機バージョンをまれに見かけるから、かなり早期(1980年 前後??)にキット 化されていたと思います。試作機版との違いは兵装類はアップデートされているようです。同社のトーネードは1/72では他にECRとF3があります。あと 1/48も有りましたっけ。

1/72トーネードのキットは80年代末にハセガワが良いのを出しているから、本キットはあえて買い求めるほどの出来ではないです。パーツだけで 見るならイタレリの方が気軽そうです。ただし同社のキットは塗装指示が極めて曖昧なので、結局は他社のキットや資料のお世話になるだけでしょうな。今 回も塗装指示はハセガワの参考にしました。



〜製作開始〜




今回のキットです。ヤフオクで購入。いつも感心させられるのは、この 箱絵。本キットもスピード感に溢れ、箱から飛び出して来そうな感じです。イタレリ社は昔から箱絵のレベルは高いです。だからつい手にとってし まうんですよねぇ。大抵は中身を見てガックシ、のパターンですが。箱自体はベコベコのキャラメル箱(B式)。ビニールでパックされているから購入前に中身確認できません。

キット構成で す。結構シンプル。イタレリキットの全体的な特徴としては、パーツを極力抑えて箱をこじんまりと纏める傾向がありますね。パーツ表面は梨地仕上げに凹彫 り。モー ルドは全体的にぼやっとした感じです。パーツ自体はパックされていないから、傷やランナー外れに当たると運悪し、です。

デカールです。いつものイタレリ艶消しデカール。一応カルトグラフ製。箱には”LUFTWAFFE”と書いてあるけど英空軍と伊空軍のマークも入っていま す。同社1/72キットにしては珍しく、大判デカール(160mm×170mm)。細かいステンシル類も入っています。





インストです。これもイタレリスタンダードな物です。一応日本語によ る表記もあります。色はモデルマスター塗料で指示。かなり大雑把で判り難いから、もしハセガワのキットをお持ちの方はそれを参考にした方が良いです。イン ストでは独空軍のみの塗装指示です。

箱の裏には
英空軍と伊空軍の塗装指示が印刷されていますが、かなり大雑把です。 まあこれも参考程度に。

製作前の脱脂作業。舶来キットは何が有るかわからんので、ぜひしてお きたいです。





コクピットです。サイドコンソールが別パーツになっていて、パーツ類 は多め。計器盤はモールド表現でデカールは無いです。ただし塗装指示はかなり大雑把だからハセガワを参考にしました。
※写真に映っている操縦桿の向きは逆です。後で直しました。

主翼の可動機構です。
ここはピボット部を切り欠くのが定番工作です。ただし加工前にどうなっているのか確認してみました。バー(黒く塗っています)を 介して左右を連動させるようです。イタレリのVG翼機は本方式が主流ですね。パ イロンも可動で、差し込んだ後ピンの先を熱したマイナスドライバーで潰すような指示です。これも後付けするから無視です。

ピボット部をエッチングソーで切り欠きました。別々に塗装して後で差し込むつもりです。胴体と翼を別々に塗装できるので気分的には楽になりました。





胴体を組みます。機首側面は一見の価値ありです。ツルツルで何もモー ルドされていません。上下横割りだから側面のモールドが甘くなるのは仕方ないとしても、ここまで何もないと返って潔いです。気になる人は図面片手に 彫り直ししたら良いでしょう。

胴体とエアインテークの間は、組立後では塗装が面倒なので予め塗ります。かような箇所は ジェット機の場合、いつも手順で悩みます。迷った時は基本に帰る。基 本は「組立後に塗れない箇所は先に塗る」ですので、今回はそれに従います。接合面のスキマにはエポキシ接着剤を擦り込んで「後付け感」を無くします。

機体が組みあがりました。胴体と主翼、尾翼は別々に塗装することに。この方が楽でよいです。ちなみにインストでは水平尾翼は胴体貼り合わせ時の組み付け指 示ですが、これも無視して後付けします。



始めにクレオスのC331ダークシーグレーを塗ります。念のために全 体的に吹いておきます。

型紙でグレーをマスキングします。型紙はハセガワのインスト「塗装図」を1/72にコピーしたものを使用します。時間も掛かるし非常にめんどくさい作業で す。しかしこれをしないと先に進まないのですョ。チマチマチマチマと、のんびり進めます。

マスキングが終わりました。特に胴体がめんどくさいです。全部終わるのに一日かかりました。





マスキングをしたらクレオスのC330ダークグリーンを吹きます。

型 紙を外します。この瞬間はいつも緊張します。型紙を外すと・・・おお〜っ!ナカナカ上手く出来ているじゃねぇっスか!ヨ〜シ、ヨシ。完成へ向けてテンショ ンも高まるってもんです。一服して落ち着いてから吹き漏らしやミスをチェックします。

細部塗装をします。マスキングしては塗装の繰り返しに なります。 その他の小物類も塗装しておきます。





機体にデカールを貼ります。今回のデカールは数が多いので2日位かけ てのんびり貼ります。にしてもやっぱりイタレリのデカールは硬いですねぇ。今回梨地は均さなかったし塗料も艶消しなので白浮きは必至です。クレオスのマー クセッターもほぼ効きません。これで一気に脱力してしまい、仕上げのクリアーも吹くのを止めにして、小物類を取り付けて完成、としました。
なお、サイドワインダーのランチャーは何故か上半角で取り付くようになっていて、怪しかったから付けませんでした。



〜完成〜








完成したトーネード。まあプロポーション的には別段問題も無く、本機 の精悍なスタイルを良く再現していると思います。機首側面のツルツルモールドもなんのその。デカール貼ってしまえば気になりません。プラパーツ自体は合いも良くて大変に組み易いキットでした。ディテールが気にならなければおススメしたいところです。

ただしデカール難有りです。以前製作した1/48F-16Cの時も苦労しましたが、国産デカールに比べてやや硬く、曲面追従性はほぼ無い。
ノリも少し弱いですね。対策としては塗装面はツヤ有りにして、水溶き木工ボンドを使えば何とかなるかも知れません。あとインストの説明書も大雑把です。これあるがためにイタレリのキットって製作に二の足を踏んでしまうのですよね〜。最近のデカールは改善されているようですが・・・。まあ、資料や別売りデカールを持っている人は問題ないとして、ストレートフロムボックス派には厳しいかもしれません。。。

カ ルトグラフ製デカールは近年、やたらに限定キット等で「付加価値」の代名詞の如く謳われていますが、私の中ではやや評価低なんですよね。限定品とか別売り はともかく、こうした定番キット付属デカールの品質がイマイチだから。この辺の工程は最終段階の大事な部分ですので、ここで蹴躓くとかなり痛いんです。な お今回はデカール貼りで嫌気がさし、クリアー掛けはパスしてしまいました。

今後イタレリ社製キットを製作する場合には、デカールについては何らかの対策を講じてから作業に掛かりたいと思います。んー、どうしましょう。同社のキットは本キット以外にも何個かストックしているので今後に課題を残す、今回の製作でした。


2013年6月7日完成。


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